“いろんな友だち”特集その1
  2000.4

先回は心の中のともだちがテーマの絵本をご紹介いたしましたが、現実生活の中での 友だちづきあいは、なかなか苦労も多いものです。気の合う子もいれば合わない子も いる、いじめっ子も泣き虫もいる。親切にしたつもりが迷惑に思われた…なんてこと も。子どもの世界といえども絵に描いたような仲良し関係はあるわけでなく、幼いな りに努力も苦労もして友情を育てていくのだと思うと、何だかちょっといじらしい気 持がしてきませんか?友だち関係がテーマの絵本はたくさんありますが、まず<その 1>。

 

バックナンバーリストはこちらをご覧下さい。  

となりのせきのますだくん 

武田美穂 作・絵
ポプラ社(本体価格 \1200.)
お勧め年齢:幼児から
横24.5×縦24.5
みほちゃんは泣き虫で頼りない一年生。隣の席のますだくんが“怪獣”みたいに思え ます。乱暴だし、すぐに口を出してくるし、みほちゃんの失敗は全部大声で先生に言 いつけるし。大事にしていたえんぴつを折られてけんかした次の日、美穂ちゃんは学 校に行きたくありません。「あたまがいたいきがする おなかがいたいきがする ね つがあるようなきがする…」でも、ずるやすみしたら、また、ますだくんに言われ ちゃう。「せんせー!みほちゃんがずるやすみしまーす」 勇気を奮い立たせて登校 したみほちゃんを、校門で待ち構えていたますだくんが「ごめんよ!」と、ぶった… というのがこのシリーズの1作目。続編は、みほちゃんを面倒見ようとする、ますだ くんの側からのぶきっちょな友情がテーマで、相反する性格のふたりが少しずつわか りあって行く様子がテーマを通して描かれています。外国のいじめっ子では『いじわ るブッチー』(徳間)が出色です。

たっちゃん ぼくがきらいなの ―たっちゃんは自閉症― 

さとう としなお 作・みやもと ただお 絵
岩崎書店(本体価格 \1300.)
お勧め年齢:幼児から
横19×縦26

“たっちゃん、手をつないでもすぐに逃げちゃう。僕が嫌いなの?それに突然大きな 声を出したり頭をたたいたり、不思議な言葉をしゃべったり…。” 初めて障害のあるお友達に出会った子の戸惑いに、わかりやすい言葉で答えます。 “きみはお母さんのやさしい心を受け止めるアンテナがくるくる回っているね。たっ ちゃんのアンテナはぎくしゃく回る。お母さんや廻りの人の気持が、上手く伝わらな い。上手く甘えられず、不安でいっぱいの自閉症のお友達は、だからちょっと変わっ た行動を取るけれど、決してきみのことが嫌いなわけじゃないんだよ。”と。 障害の中でも自閉症は大変わかりづらい症状を示し、大人でも戸惑う事が多いもので す。こんな平易な思いやり深い言葉で説明を受けたら、幼い人にも、色々な人がいて それで良いのだという事が自然に理解できるのではないでしょうか?

とん ことり

筒井頼子 作・林 明子 絵
福音館(本体価格 \800.)
お勧め年齢:幼児
横27×縦19

山の見える町に引っ越してきた、かなえ。家族は荷物の片付けに大忙しです。その時 玄関で「とん ことり…」と郵便やさんの音がして、郵便受けの下にすみれの花束が 落ちていました。まだ誰にも住所を教えていないのに。その次の日にも「とん こと り…」とあの音がして、今度は郵便受けにたんぽぽの花!そうしてまたその次の日、 「とん ことり…」の音で届いたのは「ともだちはいいです とてもうれしいです  まっています」と書かれた手紙。手紙や花は自分に来たものだとかなえは確信しま す。4回目の「とん ことり…」で折り紙の人形が届いた時、待ち構えていたかなえ はドアを開け、とうとうひとりの女の子の姿を見付けます。最終ページで、たんぽぽ の原っぱを行く二人の女の子の笑顔も素敵。町を歩いたり新しい幼稚園を訪ねるかな えを、いつも物陰から見ている、黄色い服の女の子を捜すのも楽しみ。何度も手に取 りたくなる1冊です。