"わがままネコたちのお話" の号 2001.11
絵本の主人公として圧倒的に多いのが、ネコ。スポーツマンは犬を飼い、芸術家はネコを飼うことが多いという統計があるようですが、ネコの絵本の多さを見ると納得です。 |
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こねこのフーシカ |
松井スーザン作松成真理子絵 童心社¥1,300.(本体) 横24×縦23p 対象:幼児から |
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ダニエルじいさんが雨の中で助けた仔猫は、とっても怒りん坊。差し伸べられた暖かい手を引っかき、もらったミルクを飲むのも、"ふうっ"とダニエルじいさんを追っ払ってから。怒ってばかりなのでフーシカと名付られて、納屋に住みつきました。フーシカは思っています。「ぼくは、誰かの家のねこにはならない。だれかに世話をしてもらうわけじゃない。ぼくはただ、ここが気に入ったから、ここに住むことにするんだ。」そんなフーシカを、ダニエルじいさんとこの家の動物たちは優しく見守ります。フーシカの考えを変えたのは、ダニエルじいさんの病気でした。冬のある日、買物から帰ったダニエルじいさんが寝込んでしまっても、フーシカに出来るのは傍に寄り添うことだけでした。動物たちの看病でダニエルじいさんが回復した時、初めてフーシカはダニエルじいさんになでてもらいます。「ぼくは誰かの家のねこにはならない。ただダニエルじいさんがだーいすきだから、気が向いた時にはちょっとのあいだなでてもらうんだ…。」
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タンゲくん |
片山 健 作・絵 福音館 ¥1,200.(本体) 横20.5×縦28.5p 対象:幼児から |
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ある夜家族で晩ご飯を食べていると、見たことのないネコがのっそりと入ってきました。片方の目がつぶれた立派な縞ネコでした。そのネコは「わたし」のひざに、当たり前のように座り、その日から家のネコになりました。片目なので「タンゲくん」。掃除機を恐がって必死で逃げたり、トカゲやバッタを採ってきたりするタンゲくんのことを、「わたし」は、"いてくれるだけで嬉しい…"と思っていました。でも、外に行ったタンゲくんがどこで何をしているのか、「わたし」は知りません。外で会った時、タンゲくんは隠れたり逃げたりしてしまうのです。タンゲくんは本当は、知らない女の子に飼われているのかしら?それともどこか遠い山の中で家族と暮しているのかな?ケンカの声がすると「わたし」は、ハッとします。タンゲくんかな?でも、晩になるとタンゲくんはやっぱり帰って来て、晩ご飯を食べて「わたし」のひざで甘えます 特別ネコが好きなわけじゃない…という片山さんが描いた、逞しくっていかにも猫らしいタンゲくんを、ワガママとも言わず独占しようともせず、ただタンゲくんを思う「わたし」が素敵です。 |
あくたれラルフ |
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ガントス 作・ルーベル絵 |
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あくたれネコのラルフは、セイラのネコでした。あくたれでも、セイラはラルフが好きでした。セイラのバレーを真似してからかいます。セイラの乗っているブランコの下がっている枝を切ってしまいます。セイラのパーティをめちゃめちゃにしてしまいます。「ラルフ、ときどきあんたを可愛いと思えなくなるわ…」ラルフのいたずらは留まるところを知らず、お父さんやお母さんも怒らせてしまいます。家族でサーカスに行った時、ここでもラルフは、ブランコのりや動物たちにのじゃまをして、とうとうお父さんに「サーカスに住むのがやつには丁度お似合いなんだ。」と言われてしまいます。サーカスの暮しは厳しいものでした。食べ残しのポップコーンの片づけ・らくだの水遣り・ナイフなげの曲芸のマト。とうとうサーカスから逃げ出したラルフは町をさ迷います。寂しさに泣いていると、そこへセイラが捜しに来てくれたのです。「まあラルフ、あたし今でもあんたが大好きなのよ!」家に帰ったラルフは、もう2度とあくたれはしまい!と思いました。が… |