“クリスマスの絵本”サンタさんって誰だ?その2 2002.12
今年もクリスマスがやって来ました。クリスマスと聞いて子どもたちがまず思い浮かべるのは、「サンタクロース」ですね。1番に「おめでとう!」を言われるべき立場にあるキリスト様も、この現象には苦笑いなさっているかもしれません。年に一度この夜に、世界中でこんなにもサンタクロースが活躍するのは、子どもたちに幸せでいて欲しいと願う気持ちが地球上に溢れているせいでしょう。どの子にもみんな、すてきなプレゼントがありますように。 |
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サンタクロースと小人たち |
クンナス作 いながき みはる訳 偕成社 ¥1,800.(本体) 横24cm ×縦30cm 対照:幼児から |
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フィンランドの北のはずれ、コルバトントリ山のふもとに、サンタクロースとその奥さんと何百人もの小人が住んでいます。この村を見た人はいないし、サンタクロースがいつどうしてやってきたか、だれにもわかりませんが・・・。この村で、サンタクロースと小人たちは、子どもたちへのプレゼントを作って暮らしています。大工さんや機械の熟練工、画家、布を織る人、印刷をする人。もちろん小人の子どもたちの学校もあるし、トナカイもいます。たくさんのおもちゃや本が作られて村の倉庫に並ぶころ、プレゼントをお願いする子どもたちの手紙も村へ届き始め、いよいよクリスマスの準備です。たいへんな数のプレゼントを用意しなくてはなりませんが、サンタはどの子のことも決してわすれません。さて、いよいよその日が近づいて、飛行機やトナカイのそりが用意され、、待ちに待ったクリスマス・イブ。サンタクロースと小人たちは、一夜で世界中の子どもたちにプレゼントを届けるために大活躍をするのです。伝統的なサンタクロースとその暮らしが詳細に描かれ、どのページも見飽きることがありません。 |
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そりぬすみ
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フォアマン作・絵 せた ていじ訳 評論社 ¥1,300.(本体) 横21cm ×27縦cm 対照:幼児から |
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ある街で、大どろぼうたちがサンタクロースを盗もうと計画しました。そして全員がサンタに変装して、空翔けるサンタクロースをヘリコプターで追いかけ、トナカイのソリごとかれらのロケットの中へと連れ去ったのです。この頭の良いどろぼうたちにも、しかし誤算がありました。サンタに一目会おうと子どもたちが目を覚ましていたので、この様子を目撃した子どもたちから、「さらわれた」のひとことが全世界に伝わったのです。怒った子どもたちがロケットを追いかけ、着陸をこばみました。どこにも降りられないとわかったどろぼうたちは、騒ぎですっかり仕事の遅れたサンタクロースを手伝うはめになりました。ところがこの仕事はどろぼうたちの気に入りました。物を盗るよりあげるほうが、ずっとおもしろかったからです。こんな訳で、どろぼうたちは(したたかな3人を除いて)それからずっと、サンタさんの仕事を手伝うことになりましたって。あなたにプレゼントを持ってくるサンタさんも、ひょっとすると大どろぼう出身かもしれません・・・。瀬田さんの訳が、ゆかいな原作をさらに楽しませてくれます。 |
ちっちゃなサンタさん |
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バンサン作・絵 もり ひさし訳 |
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マガーリはサンタさんに会いました。ちっちゃなサンタさんが、空から(パラシュートで!)降りてくるのを見てしまったのです。そのサンタさんは小さくて自信なげだったうえ、何もプレゼントを持っていませんでした。「ちっちゃなサンタさん、クリスマスのプレゼントは?」「わたしは なんにも もっていない ちっぽけなサンタクロースなんだよ。」 なんにも持っていないサンタさんなんて・・・。マガーリは急いで家に帰ると、部屋で待っていたお人形に言いました。「さ、いっしょにおいで、カロリーヌ!」マガーリは、ちっちゃなサンタの待っている野原に取って返すと、仲良しのお人形をプレゼントします。お人形を抱きしめたちっちゃなサンタさんは、来年の再会を約束して、空へ帰っていきました。 |