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“犬と子どもたちの友情物語"の巻 2002.6
おとこのこって なんでできてる? マザーグースにこんな詩があるのをご存知でしょうか?男の子が子犬のしっぽでできているかどうかは別として、確かに子ども時代に仲良しの動物の存在は欠かせません。子どもと犬は、大人には入り込む事の出来ない特別な関係を結びます。そして子どもと犬の過ごす幸せな時間のその先には、時には切ない思い出が続くこともあります。まだ大人に守られる年代でありながら、自分の犬を守ろうと悪戦苦闘したり、どんなに大切に思っても避けることの出来ない別れが来たり・・・。それでも、やわらかな感性の時代に、純粋な信頼関係を経験できるのは、幸せな事ではないかと思います。 |
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のら犬ウィリー |
シーモント作・絵 みはらいずみ訳 あすなろ書房 \1,300.(本体) 横20.5×縦22cm 対照:幼児から |
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家族でピクニックに行った公園での事。バーベキューをしている所へ、ワンちゃんがやってきました。ソーセージをもらったそのワンちゃんは、子どもたちと遊び、ウィリーと呼ばれて、みんなとすっかり仲良くなりました。"ウィリーはじぶんのおうちがあるはずだもの”という両親の意見で、その日家族は引上げてきたのですが、夕闇の中にぽつんと坐って見送っていたウィリーの姿が、家族の心から離れません。次の日曜日を待ちかねて、再び出かけた公園で一家が見たのは、怯えきって必死で逃げて来るウィリーでした。野犬狩りに追いかけられていたのです。子どもたちはズボンのベルトを首輪に、髪のリボンを引き綱にして、"ウィリーはうちのこなの!"と主張します。 |
マドレーヌといぬ |
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ベーメルマンス 作・絵 |
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パリの古いお屋敷の寄宿舎で暮らす12人の女の子。散歩の途中で、マドレーヌがすべって川へ落ちました。大変、溺れてしまう!みんなが慌てていると、1匹のいぬが飛び込んで、 "もくずになる身" のマドレーヌを助けてくれました。12人の女の子はその勇ましい犬をつれ帰り、世話をし、可愛がり、誰がベッドで寝かせるかで大騒ぎになるほどでした。犬は利口で役に立ち、ジュヌビエーブと名付けられて、女の子たちと仲良く愉快に暮していました。なのに、学校検査の日、評議員のおじさんおばさんたちに、"いぬは がっこうに はいるべからず"と追い出されてしまったのです。泣いている場合ではありません!女の子たちは、なんとかジュヌビエーブを見つけ出そうと、パリの街中を捜します。おなじみ、1番小さくて勇敢なマドレーヌとその仲間のシリーズ、女の子と犬の友情物語です。 |
キングの最高の日 |
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スタルク 作 江川智穂 絵 |
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みんなで作った森の小屋が完成して、今日はそのお祝い。それなのに、ヨッヨはふさいでいます。彼の犬でありみんなの仲間でもあるキングが、不治の病気で、苦しみを避けるために安楽死を勧められたというのです。強くて大きな犬キングにそんな日が迫っているなんて・・・。その時ロッフェが言いました。"おれたちで、キングが夢見ることぜんぶ、させてやらなきゃな!" 次の日、彼らは思いつく限りのキングの望みを叶えようとしました。盲導犬を装って遊園地に連れ込んで一日中一緒に過ごし、マクドナルドでハンバーガを食べさせ、キングお気に入りのプードルと遊ばせるためには、飼い主を物置小屋に閉じ込めさえもしました。楽しそうなキングを見ながら、ペギーは言います。"キングにとっては最高の日よね!”そしてその夜、ヨッヨと森の小屋で眠ったキングは、翌朝目覚めることはありませんでした。 |
「アンジュール」バンサン作(BL) 「チムのいぬタウザー」アーディゾーニ作(福音館) 「だんまりルーファスと愛犬レナーテ」フローデ(文研) もおすすめです。 |