“ぼくのいま いるところ”の号 2003.1

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 年の始めの特集は"地球"。わたしたちはたくさんの動物や植物と一緒に、地球上に暮らしているのに、そのことをつい忘れて、人間の便利や自分の都合ばかりを追い求めたり、土地や資源を我が物にしようと争ったりしてしまいます。文明を持った私たちが、結果的に"地球の問題児"となるのではあまりに残念です。人間だけが偉いのでも、強いものの好きにしていいのではない、私たちは宇宙船地球号に乗り合わせた仲間なのだから・・・。そのことを、改めて考えたいと思います。



 

ぼくのいまいるところ 

かこさとし昨 太田大輔絵
童心社 ¥1,300.(本体)
横19cm ×縦26.5cm

対象:幼児から

 あなたは今どこにいるの?と聞かれたら、何市何町の何番地、と答えるのが普通でしょう。でも、それで本当に自分の居る所を正確に表すことができたと言えるのでしょうか?かこさとしさんは、(ちなみに、加古里子と書きますが、男の人です!)
今いるのは、ここです。ぼくの家の庭です・・・・と、始めています。さらに、ぼくの家のある町は、大きなタワーのある街の隣にあり、大きな街は富士山の見える所にあり、富士山は日本で一番高い山で、日本は太平洋上の島・・・とたどり、結論はこうです。つまり、"そうです!だいうちゅうの なかの、ぎんがけいの ほしの あつまりの、たいようけいの なかの 、ちきゅうの うえの 、にっぽんのくにの、タワーのある おおきな まちの、となりの ちいさな まちのなかの、ぼくの うちの、その庭にぼくは立っている"と。この絵本を新鮮に感じるのは子どもだけではないでしょう。あなたもわたしも、広い宇宙の中のこの地球上に存在しているのですね。こんな素敵なことを、生活に埋没して忘れていることもあります。時にはこの本を取り出して、感動に浸りませんか。





いのちのつながり

中村 運作 佐藤直行絵 
福音館 ¥1,300.(本体)
横23.5cm ×25.5縦cm 
対象:幼児から

 動物たちは、飛んだり歩いたり泳いだりして生き生きと暮らしているが、一方植物は土に根をはっているから動くことが出来ない。その理由は、植物は自分自身で栄養を作りだせるので、動かなくても生きていけるから。反対に動物は、えさをさがして動きまわらなくてはいけない。子孫の残し方も、動物と植物では違う。さらに後半では、大昔生き物が生まれた時から現代までをたどり、その遺伝子のつながりを説明しています。そして、もし他の星に生き物がいたら、かれらもたぶん遺伝子を持ち細胞でできていることだろう、と。―――子どもの本には、歩くことに憧れる木の話がたくさんあります。わたし自身も、この本を読むまでは、歩けない木はかわいそうだと思っていました。実は、動かないと食べていけないなんてかわいそう・・・と植物たちから同情されているのかもしれませんね。こんなに貴重な情報を満載しているのに、4・5歳から読んで上げられるやさしい表現の絵本です。

 



せかいのひとびと 

スピアー作・絵 松川 真弓訳
評論社 ¥1,500.(本体)
横26cm×縦34
cm
対象:幼児から

 地球上の人がみんなで手をつなぐと、赤道を225周もするんですって。そんなにたくさんの人がいても、一人として同じ人はいない。地球上のすべての人たちのさまざまな体の形、目の色、髪や肌のいろ、文化や宗教に至るまで、この本はそれらを丁寧にイラストにして並べています。おしゃれの仕方や食事、住まい・・・。こうして眺めてみると、何と多様なのかと、きっと親子で見入ってしまいますよ。小さい人たちには、地球儀や地図と一緒に見せて上げてください。この本の締めくくりの言葉は、「ほらね、わたしたち みんながみんな それぞれ こんなに ちがっているって すてきでしょ?」





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