“秋の木の葉たち”の号 2003.10

 木立が装いを変える季節です。新緑も素敵ですが、紅葉のあでやかさは街角でも小さな庭でも目に映りますね。この時期、ピコットでは店内に落ち葉がつもります・・・。途中できれいな落ち葉を見つけて持って来たた小さいお客様たちが、帰りは絵本の袋を抱えるため、落ち葉は置き土産となってしまうのです。お店に居ながらにして秋を感じています。

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おちばひらひら

新・自然きらきら12
久保秀一写真 七尾純文 
偕成社 ¥1,000.(本体)
横23cm ×縦22.5cm

対象:3歳から
 お母さんから一人立ちする時、サワガニのちょきたんは、「もうすぐ あきが くるから きをつけなさいよ。」と言われました。秋ってなんだろう。おにいさんがにやちょうちょ、あかとんぼたちは、秋はきいろくてあかくてきれいだよ、と教えてくれました。ちょきたんが岩の上で待っていると、やがてドングリの実が落ち、赤や黄色のきれいな葉っぱも川上から流れてきました。「きれいだなあ。これが にいさんが いっていた あきなんだ。」秋が終わると寒い冬、ちょきたんたちサワガニは、春までお休みします。
 このシリーズはお話仕立ての科学絵本。図鑑に興味がない子も一緒に楽しめます。





もりの かくれんぼう

末吉暁子作 林 明子絵 
偕成社 ¥1,000.(本体)
横21cm ×25.5縦cm 
対象:4歳から

 お兄ちゃんのあとを追いかけて、けいこが生垣をくぐり抜けると、そこは金色にけむる秋の森でした。「おいらの なまえは もりの かくれんぼう」と名のる不思議な男の子に会ってかくれんぼうにさそわれ、けいこは森の動物たちと遊びます。ところが、けいこがかくれている時、お兄ちゃんの声に気付いて顔をあげると、そこは森ではなく恵子たちの住む団地だったのです。
 金色の美しい景色の中にたくさんの動物たちが潜む隠し絵は、いくら眺めていても飽きません。団地が出来る前にいた森の動物たちを思うけいこの気持ちも胸に残ります。秋には絶対読んでほしい1冊です。



あかいはっぱ 
  きいろいはっぱ

エイラト作 ・絵 
阿部日奈子訳
福音館 ¥1,400.(本体)
横25cm×縦26cm
対象:5歳から

 美しい紅葉を見せるわたしのカエデは、わたしが生まれるずっと前に、風に吹かれたカエデの実がおちて森で芽を出したのです。ある日苗屋さんの手で掘り起こされ、しっかりとした若木になるまで大切に育てられて、ガーデンセンターに運ばれました。そこでカエデは、わたしたち家族に見つけられてお家の庭に植えられたのです。春、わたしのカエデは、若葉や花をつけ、花はやがて羽根のついた種になって飛び立ちます。わたしのカエデを見たい人は、秋に来て下さい。
 デコパージュと切り込みの仕掛けが生きて、立体感のある仕上がりになったこの絵本は、「わたしのカエデ」というフレーズの効果もあって、一本の樹の印象をくっきりと際立たせています。物語であり、知識の絵本であり、また哲学書の様でもあって傑作です。





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