|
“夢をみた・・・” の号 2004.1
新年おめでとうございます。 今年の初夢、どんなのをご覧になりましたか?「夢」という文字には希望とか目標といった意味もあるのに、そして店名にもそこから拝借しているのに、どういう訳か、私が(夜!)実際に見る夢は、おおよそロマンチックなものとは遠く、奇妙なものやら、怖いものばかりです。空想の世界と付き合い過ぎるせいかと、ちょっと心配。幸い大人は目が覚めた瞬間、「ああ、夢だった・・・」とわかるのですが、ちいさいひとたちは、目覚めてもすぐに夢の世界から戻れないこともあるようです。楽しい夢だったらいつまでも憶えていたいけど、もし怖い夢だったら「ゆめくい小人」に来てほしいですね。 皆様にすてきな夢が訪れますよう・・・。今年もどうぞよろしく。 |
リサのこわいゆめ |
|
|
|
ママと怖い映画を見たリサ。それは 子どもを狙うおばけおおかみのお話でした。「ほんとうは いないよね」と言いながらも、その日からリサは怖い夢を見るようになってしまいます。仲良しのガスパールが「とまりにいって あげてもいいよ。」と言ってくれますし、パパは、「おおかみに わなを しかけたら どうだい?」とアイデアを出してくれます。それでもリサの怖い夢は続いていました。まったく嫌なおおかみです。 そんなある日リサは、家族とガスパールと一緒に動物園へ出かけました。全部の動物を見なくっちゃ、と張り切って走り回っていたリサとガスパール。キリン、カワウソ、キツネザルと見て行くと「おおかみ」と書いてある檻の前に来ました。おおかみ!けれどもそのおおかみは、白くて、まるで犬みたいで、リサの夢に出てくる怖いおおかみとは随分違っていました。檻の前でずーっと立って、おおかみを見ていたリサ。その日から、あのおばけおおかみが、リサの眠りを邪魔することはなくなったようです。 |
ロミラのゆめ | |
金田卓也作 金田常代絵 |
|
山の村に朝が訪れて、ロミラは目を覚まします。朝一番の仕事は泉への水汲み。小鳥さんたちと朝の挨拶を交わした後は、水牛の乳をしぼり、朝ごはんを済ますと、今度はやぎたちの世話です。少女には厳しいその日課を明るくこなすロミラは、ヤギたちを連れて登った草地でウトウトしていて、素敵な夢を見ます。夢に現れたヒンズー教の神様クリシュナさまは、動物たちの心がわかる優しいロミラに、贈り物をあげようと約束してくださるのです。その夜村の集まりで、誰よりも美しく踊る事が出来たロミラは、「これが クリシュナさまの おくりものに ちがいないわ」と思うのです。ものの溢れる世界に暮らす子どもたちは、ヒマラヤの少女が感じた幸せに、共感する事ができるでしょうか。 |
ゆめくい小人 |
|
エンデ作 フックスフーバー絵 さとう まりこ訳 偕成社 ¥1,300.(本体) 横22cm ×縦23.5cm 対象:5歳から |
|
まどろみ国の人々にとって、眠る事は一番大切な仕事でした。よく眠れば心が優しくなり、頭もすっきりするから、というのがまどろみ国の考え方でした。ところがこの国の王さま夫妻のちいさな娘 すやすや姫は、夢が恐くて眠ることが出来ず、すっかり弱ってしまっていました。お医者様や偉い先生にも、羊飼いにも、薬草とりの女、お百姓や水夫にも、すやすや姫のこわい夢をなんとかできるものはいませんでした。「王女の こわい ゆめを とりのぞいて くれる ものには、たくさんの ほうびを だそう」とおふれを出しても名乗り出る人がなかった時、とうとう、王様は自分で探しに出かけるしかないと思いました。さて、長い旅の末荒野に迷った王様は、おかしな姿の生き物に出会います。それこそが、ゆめくい小人だったのです。ゆめくい小人をすやすや姫のもとに招くため、王様はどうやったのでしょう。ゆめくい小人と王様のやりとりはちょっぴりドキドキで、本当にゆかいで、そして心満たされるものです。このお話のなかでも特にエンデを感じる部分です。ゆめくい小人がすやすや姫のために書いた呪文、あなたも試してみませんか?勿論そのためには、まずこの本を買っていただかなくちゃいけませんが・・・。 |