“よるのおはなし ”特集  2004.11

 夕暮れがだんだん早くなり、秋を実感するこのごろです。子どもの頃、夜は、暗さへの不安と守られている安心感のない交ぜになった、とても不思議な時間帯だったのを思い出します。ならば、明かりを持たない森の動物たちには、夜はどんな時間でしょうか・・・。
 夜の絵本がたくさんあるのは、夜が特別な魅力にあふれているせいですね。選ぶのに迷いましたが、お妃さまで有名になったあの本を除いて、3冊!

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おひさまがしずむ 
よるがくる


ルーク文・アイタン うちだりさこ
福音館 \1,260.(税込)
横21cm ×26cm
対象:3歳から  * 出版社品切れ

 お日さまが沈んで、「よるが くるのよ」と、母さんがはカーテンを引きます。だんだん暗くなっていって、夜はすぐそこに。時計が六つ鳴って、うさぎ坊やはお休みの支度です。母さんにお話をよんでもらい、着替えてベッドへ。「よるが きた おつきさまが のぞいてる」 「よるが きた こおろぎがないてる」 電気を消して、おやすみ。
 おやすみなさいの絵本は、「くまくん」も「フランシス」も、中川季枝子さんの「おやすみ」も、どれもそれぞれに好きだし、センダックの2冊「まよなかのだいどころ」「かいじゅうたちのいるところ」も、何度でも手に取りたくなります。そんな中から今回選んだこの「おひさまがしずむ よるがくる」、絵とことばの透明感が秋の気分にぴったり、と思いませんか?




おやすみなさい
     コッコさん

片山健文・絵 
福音館 \780.(税込)
横20.5cm ×縦22.cm
対象:2歳から

 誰もが眠った真夜中に、起きているのはお月さまだけ。おや・・・コッコさんが起きていますよ。お月さまが言います。「コッコさん おやすみなさい もう そらの くもも ねむったよ」 でもコッコさんは眠る気がなさそう。「そらの くもが ねむっても コッコは ねむらないもん」 どうしてだか寝付きの悪い夜ってあります。眠らないでいようと頑張る子どもも居ます。お月さまの優しいことばに、「いけの さかなが ねむっても」「いぬが ねむっても」「ふとんが ねむっても」眠らない!と頑張っていたコッコさんも、柔らかな月の光のなかで、とうとう眠っていきます。がんこでぶきっちょで、かわいいコッコさん、新しい明日がやってくるまで、いっぱいいっぱいお休み。

 



お日さまをみつけたよ

ミトゥーリチ 原案・絵
松谷さやか 
福音館 \1,155.(税込)
横21cm ×縦29.cm
対象:4歳から

 冬、寒くて暗く雪嵐が吹き荒れ、動物たちは震えていました。やがて待ち望んだ春。そしてお日さまの光が森じゅうに降り注ぎ,眠っていたものは起きだし、あちこちで赤ちゃんも生まれています。幸せ溢れる森の様子に、ひねくれやのふくろうだけは、おもしろくありません。「いま また にまっくらやみに してやるからな!」ふくろうは、夕方山に降りてきたお日さまを、その尖った爪でつかんで、洞穴に閉じ込めてしまいました。お日さまが空に登れないので、森に朝がやってきません。そこで、森中で一番足の速いうさぎと、一番力の強いくまが、お日さまを捜しに出掛ける事になりました。
このお話はシベリアの昔話が元になっているそうですが、日本にもよく似たお話がありますね。きっと地球上のあちこちに、夜の後にきっと明るい昼がやってきますようにと祈った人たちがいたのでしょう。森のおひさまはどうなったかって?もちろん動物たちが取り返しましたよ。だから今でも毎朝、日が昇ります。


 

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