幼児のペット ダンゴムシ”の号 2005.5

 小さい方のいらっしゃるご家庭では、一度や二度はご経験がおありでしょう。大切そうにポケットに入れているモノをつまみ出して、目の前にかざしてよーく見たらば、それば丸まった姿勢のダンゴムシだった!・・・なんてこと。カマキリやカグトムシを扱える上級者になる前の時期、ビギナーたちは庭にしゃがみこんで、逃げもせず威嚇もしない、友好的(?)なこの生き物に夢中になります。地味でも味わい深いダンゴムシの生態をお楽しみください。
  ご紹介した3点のほか「しゃがんでみつけた にわさきのむし」(福音館)もおすすめです。
  現在出版社品切れですので、図書館でどうぞ。

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ころちゃんはだんごむし


高家博成作 
仲川道子 
童心社 \840.(税込)
横21cm ×19cm
対象:3
歳から

 ころちゃんは、お母さんに 「こわくなったら まるくなるのよ」 と言われて、兄弟たちと一緒に散歩に出掛けました。ところが、末っ子のころちゃん、ちょっと寄り道している間にお兄ちゃんたちに置いていかれてしまいます。そこへカマキリが現れて 「うまそうな ちびが やってきた」 と襲い掛かってきたから、ころちゃんはさっそく、くるんと丸くなりました。硬くて食べられないからとカマキリに蹴飛ばされて穴に落ち、今度はもぐらに食べられそうになりますが、危機一髪、セミの幼虫に助けられます。こうしてようやく兄弟たちに追いついたころちゃん、セミの幼虫の脱皮を見ているうちに、「なんだか ぼくたちも かわを ぬぎたく なっちゃったね」 と後ろ半分の皮を脱ぎました。
小さい方にもわかる易しい科学絵本ですが、大人にもたくさんの発見があります。ダンゴムシは昆虫ではなくエビの仲間であることや、卵から孵ってからお母さんのお腹を出ることなど、高家さんの解説もおもしろい。同じ内容の紙芝居「だんごむしのころちゃん」は、画面が大きくて迫力があります。




やあ!出会えたね
   ダンゴムシ
 

今森光彦文・写真 
アリス館 \1,470.(税込)
横20cm ×25.5cm
対象:4歳から

 2歳の息子のもぐもぐしている口から、ダンゴムシを見つけた。この庭のダンゴムシは、自分が子どもの頃に見たダンゴムシの子孫のはずだ!と思うなんてさすが自然写真家の今森さん。さっそく撮影を始めます。こんなに小さな生き物の、肉眼では確認できない生態を、写真に撮ることで鮮明に見せているところも素晴らしいのですが、その生活ぶりや好きな食べ物、脱皮や孵化の様子が、まるで友だちのことを語るように書かれています。脱皮の様子を「人間のように振舞う」と感じ、観察のため水槽に入れて飼ったダンゴムシたちを庭に放した時には、四方八方に散っていく様子を「足どりが、かろやかに」散って行くように見えたと表現しています。そんな写真家の視線を通して、子ども達にも自然との付き合い方を学んで欲しいと思います。

だんごむし 
   そらをとぶ
  
  


松岡達英作・絵 
小学館 ¥1,575.(税込)
横28cm ×23.5cm
対象:4歳から

 地面の枯れ葉ばかりたべて暮らしている、ぼく。空に憧れます。そこでタンポポの綿毛で飛ぼうとしますが、これは失敗。そこでトンボの羽根を利用した「そらとぶマシン」を組み立て、とうとう空の旅に。素晴らしい景色やおいしい食べ物にうっとりしていたら、大変!嵐に巻き込まれてしまった。何とか抜け出すと、今度は鳥やクモにも狙われます。もちろんダンゴムシですから、ころりと丸くなって攻撃をかわすのは得意ですが。こうして、クモの巣から放り出され、最後はころがりながら地面に戻ったダンゴムシ。仲間の虫がいて、いろんな味の枯れ葉も食べられて、やっぱり、僕は地面の上がいいな、というのが、空を飛んでの感想です。


 

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