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“理想のおとうさんは?”の号 2005.6
お店を始めたころ、家族を乗せてやって来てもお父さんが店内に入られるのはまれでした。時代が変わり、今はお父さんだけでのお買い物もめずらしくありません。それだけ、子育てに関わるお父さんが増えたのだろうかと嬉しく思います。当然、おっかなくて近付き難いというイメージのお父さんは少なくなっていることでしょう。理想のお父さんってどんな人?わたしの理想の「ねこ父さん」「おおかみとうさん」「人間とうさん」です。 |
しろねこしろちゃん |
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まっ黒なお母さん猫から生まれた4匹の子猫。3匹が真っ黒で1匹だけ真っ白です。みんな元気に育ちましたが、ある日しろちゃんは、自分だけ白いのに気付きました。「いやになっちゃうな。どうして ぼくだけ しろいんだろう」黒い毛に憧れて、どろんこになったり、炭に体をこすりつけたりしても、母さん猫はすぐにきれいに舐めて、元の白猫に戻してしまいます。そして、今日はお父さんが帰ってくる、と言う日。しろちゃんは、白い自分が恥ずかしくて、とうとう家出をしてしまいます。途中で、白くて大きくいとても立派な白猫に会ったしろちゃんは、嬉しくなって後を付いて行きます。すると驚いたことに、その白猫はしろちゃんの家に。そうです!その立派な白猫は、しろちゃんたち兄弟のお父さんだったのです。男の人は大きくて強くなきゃ!と言う考えも捕らわれすぎかもしれませんし、しかも、子どもが生まれたというのに一体どこにいっていたの?と聞きたくもなりますが、でもね、ほんとうにこの白猫とうさん、ほれぼれするほど素敵です!理屈ぬきで。(そっくりだけど、表紙絵はしろちゃんです。念のため。) |
すえっこおおかみ |
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ブリマー文アルエゴ&デューイ絵 |
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原っぱでころげまわっている兄弟おおかみたちを、ちびっこおおかみだけ元気なく物陰から見ています。気付いた父さんおおかみが訳を聞くと、「フランキーにいちゃんみたいに まっすぐころがれない」「アナねえちゃんが のろまっていう」「ライターにいちゃんみたいに たかくとびあがりたい」と、すえっこの悩みは尽きません。父さんおおかみは言いました。「ともかく いっぺん やって みせてごらん」 なるほど、ちびっこおおかみの動きは、素早いとも力強いとも言えません。けれども、それを見ても父さんおおかみは、全然気にしません。「それでいい」と、とても満足げに末息子を見ています。「まっすぐ ころがるのは おおきくなってからだ」「たかく とびあがるのは おおきくなってからだ」と。いかつい面構えでも、スパルタとは程遠い教育方針のこの父さん、いとおしげに兄弟たちを見守るのです。一粒のドングリだっていつかは大木になるのだから、と。 |
サバンナのともだち |
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夜の闇の中からとどろくライオンの声。「ぼく ライオンにあってみたいな」と言うジョゼフを、父さんは「まだ そのときが きていない」と止めます。しかし、ジョセフはサバンナに出掛けて、たいそう大きなライオンと出会い、勇気のあるやりとりの末、彼と友だちになります。度々一緒に過ごして互いに信頼を深めて行くジョゼフとライオン。ある日、ジョゼフのお父さんのところへ、商人がライオンの仔を買いにやって来ました。次の日、ジョゼフのライオンが1人ぼっちでいるのを見て、ジョゼフは胸が張り裂けそうでした。お父さんが、ライオンの赤ちゃんを捕まえて売ってしまった!しかし、真相はそうではありませんでした。お父さんは、仔ライオンたちを商人から隠していたのです。「こどもたちを きけんから まもってやったのだ。おまえが いつも まもってもらっているようにな」と言うお父さんに、ジョゼフは、お父さんとライオンの間にも友情があることを知ります。ライオンへの思い、父親への尊敬の念、その二つが太い流れのように、この美しい絵本の中を流れています。お父さんから子どもたちに読んで上げてほしい一冊です。 |