"たべすぎた!" の号  2006.10

 秋はおいしいものがいっぱい。特別な食いしん坊でない人でも、誘惑に抗い難き、食慾の季節です。食べ過ぎてしまったら、「ダイエット」が「成人病」が待っていることが多いのですが、その点、この絵本の主人公たちは、食べすぎたからってそんなに深刻な事にはなりません。そう言えば子どものころは、たくさん食べると褒められましたっけ・・・。

 

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くいしんぼうさぎ

せな けいこ 
ポプラ
¥1260(税込)
横21cm×縦25.5cm
対象:3歳から

 あまりたくさん食べるので、もうどこのパーティにも呼ばれなくなったくいしんぼうさぎを、なあちゃんはかわいそうに思って招待しました。なあちゃんの用意したごちそうを、くいしんぼうさぎは、かばさんよりぞうさんよりたくさん食べて、大きな、太ったうさぎになりました。そして、あまりに重くなったので地面に沈んで、何と地球の反対側へ。向こう側(多分メキシコあたりです・・・。)では、「おや、じめんから うさぎが はえてきた」と、びっくり。くいしんぼうさぎは家に帰りたくて泣きますが、お船で帰るよりも、風船に載せて飛ばしてもらうよりも、もっとすてきな帰り方を思いつきます。「そうだ!もときたとおりに すれば いいんだ」 という訳で、パンケーキやらとうもろこしやらたくさんごちそうしてもらって、また大きな太ったうさぎになって、出てきた穴に飛び込みましたって。なあちゃんのところへ、うまく戻れるかな?

 



だるまのマーくんと
  はいたのおばけ

小沢 正 片山 健
ポプラ ¥1,260..(税込)
横26.5cm×縦23.5cm
対象:5歳から

  だるまのマーくんは、姫だるまのひめこちゃんに頼まれて森のおばけを退治しに出かけます。恐る恐る行くうちに、でろでろでろーん。出てきたお化けはマーくんに、何が怖いかを聞いてきました。そこでマーくんが「おかしなんかも こわいなあ。いつか たべすぎて、はが いたくなったもん」と言うと、お化けは喜んで、「じつを いうと、おれさまは はいたの おばけなのさ」と正体を明かします。お化けから、「歯ブラシが怖い」という秘密を聞き出した、だるまのマーくんは、いらなくなった歯ブラシをいっぱい集めてもう一度森へ。マーくんが歯ブラシを投げつけると、歯痛のお化けは、「おかえしに おまえの こわい ものを なげてやる」と、ペロペロキャンディーを投げてきました。歯ブラシとお菓子を投げあう大乱闘の果て、とうとう歯痛のお化けは、「こわいよ こわいよ たすけてえ」と逃げ出してしまい、後に残ったのはお菓子の山。けど、マーくん、このお菓子を食べ過ぎて、後で歯痛になって泣いたらしい・・・。



 

  くいしんぼうの あおむしくん
   槇 ひろし 前川欣三 
   福音館 ¥840..(税込)
   横27cm×縦19.5cm
   対象:4歳から
 空と同じ色のへんな虫が、まさおの帽子を食べていました。「ごめんね、ぼく・・・・・くいしんぼうのあおむしなの」 そう本人がいうとおり、あおむしは、まさおのパンもチョコレートもペロリと食べ、紙くずまで食べて、まだ「おなかが すいたよう!」と言っています。どんどん食べてどんどん大きくなるあおむしは、 三日経つとまさおの部屋のおもちゃも絵本もみんな食べつくし、仕方なくまさおは町の人にゴミを出してもらって食べさせます。あおむしのくいしんぼうはそれでも止まらず、ある日パパもママも家も食べ、やがて町も食べ、船も食べ、あっちの国からこっちの国まで、残らず食べてしまいした。まさおが、「ぱぱと ままを かえせよう!」と泣くと、あおむしは「ぼく・・・・・まさおくんも食べてしまったほうがよかったんだ」と、まさおを呑んでしまいました。あおむしのお腹の中へ落ちたまさおが見たのは、前のままの町!パパとママのいる家大きく育ったあおむしのお腹の中が、まさおの元の世界になっていたのでした。その町の空は青く透き通って、あおむしくんのお腹の中の色でした、って。




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