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"へんしーん!の号その1 2006.7
神田英雄さんの発達論によれば、こどもは1歳半頃に自己を認識するようになり、それはつまり、「自分をかっこよく見られたい」という気持ちを持つ事なのだそうです。何だか分かる気がします。一方で人は、「別の自分になってみたい」という要求も覚えますね。「かっこよい自分」を、別の形で実現しようとするのでしょうか?しかし変身とは、自分で願った事にせよ、単なる災難にしろ、いろいろ不都合も起こります。違う自分へのあこがれ、スリル、恐れ、そして時におかしさ・・・。変身は、絵本ではよく扱われるテーマです。 |
ぞうのボタン |
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うえの のりこ作・絵 |
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ぞうのお腹にならぶ4個のボタン。ぞうのボタンを外し、"ぞうを脱いで"出てきたのは馬。そのお腹にも4個のボタンがならんでいて、馬から今度はライオンが現れます。こうして次つぎ、ボタンを外しては別の動物が出てくるのですが、当然、現れる動物はだんだん小型になっていきます。オットセイ→さる→あひる→ねずみ。最後にねずみのボタンを外してあらわれたのは何だと思いますか?当てたらえらい! 文字なし絵本ですが、しっかりとした絵に支えられた、誰にもわかる上質のユーモアです。 |
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ぼく ネコになる
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きたむら さとし文・絵 |
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ある夜窓から魔女が入ってきて魔法をかけて行き、朝起きると、ぼくはネコのレオナルドになっていた。ぼくの姿のレオナルドが学校に行かされた後、ぼくはネコの暮しに・・・。のんびりしているように見えて、ネコ仲間との付き合いなどなかなか大変。一方ぼくの姿で学校から帰ってきたレオナルドは、ネコそっくりの行動を繰り返して、お母さんを悩ませる。その夜また魔女が来て言った。「すまんかった。じゅうしょを まちがえておった」 翌朝目覚めると、ネコとぼくは元どおりになっていた。そして、学校に行ってみると、担任のマッゴフ先生が変!体を掻いたり舐めたりした後、授業もせずに眠ってしまったんだ。 |
ぶたぬきくん
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斎藤 洋文 |
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どうして「ぶた年」は無いのだろうか?それはきっと、他の動物たちと違って、ぶたは何にも考えず、食べる事にだけ一生懸命だから・・・と気付いた一匹のぶた。この考えるぶた君は、別のぶたが、仲間に混ざってご飯を食べたあと、ひとり森に帰って行くのに気付いて後を付けます。あやしいこのぶたは、実はたぬきの化けた姿でした。たぬき君と一緒に森で暮らすことにして、化ける練習に励むぶた君ですが、どうしたことか、化けても化けても頭だけは、ぶたのまま。つまり、たぬきに化けたら、「ぶたぬき君」! 幼年童話「ぶたぬきくん」の絵本版です。
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