"くいしんぼうに捧げる ”特集その2 2007.11

  秋だもの、どうしたって一度は、食べ物のお話がしたい!と考えるわたしは、食いしん坊でしょうか?(^^) 秋の実りをからだに取り込んで長い冬に備えるという、動物としての本能。それは現代人の私たちの中にも生きているように感じますが、あなたはいかがですか?ことに絵本には、食いしん坊さんを喜ばれるお話がいっぱいです。「ぐりとぐら」を読んでお母さんに即席カステラ(?)を焼いてもらった思い出のある方はきっと多いはずです。

くいしんぼうのお話はここにも・・・→ わにわにのごちそう
こねこのチョコレート

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おなべおなべ 
  にえたかな


こいでやすこ文・絵
福音館  ¥840.税込).
横19.5cm×縦27cm
対象:4歳から

 キツネのきっこのおばあちゃんが、大きなお鍋でスープを煮ていました。おいしい匂いがしてきた頃、カラスのお母さんが慌てた様子でおばあちゃんを呼びに来ます。子ガラスのノドに骨がささった!と言うので、山のお医者さんであるおばあちゃんは駆けつける事に。「スープのばんをしていておくれ」と言い付かったきっことイタチの兄弟が火を炊きながら、「おなべおなべ にえたかな?」と声を掛けると、お鍋が答えます。「にえたか どうだか たべてみよ」そこで3匹はお味見をしては味を足し、お味見をしては味を足し・・・しているうちに、スープはどんどんおいしくなって、3匹はますます食欲が進んで、そして、気が付けばお鍋はからっぽ!おばあちゃんに頼まれていたのにと、みんなは慌て。するとお鍋が指図をして、お水をいれたり野菜を足したり。おばあちゃんが帰って来るまでに、スープは作り直せるでしょうか?このお話がきっこのおはなしの春編。秋編と冬偏にもおいしい場面は登場しますが、後先考えない食慾という意味で、何と言ってもこの「おなべおなべ」が一番魅力的だと思います。読み比べて下さい。


狂言えほん

ぶす

もとした いづみ 
ささめや ゆき絵、
講談社
 ¥1,260.(税込)
横22×縦27.5cm
対象:5歳から

 むかし、屋敷の主人が出かける時に、二人の家来に「ぶす」という猛毒の入った壷を預けました。何しろ、壷の方から吹く風に当たるだけで死ぬ!と言うのですから、二人はこの壷を恐れます。けれども、見てはならぬとなれば見たいのが人情。扇で扇ぎながらじりじりと近寄って行き、とうとう、壷の中には毒ではなく黒砂糖があることを突き止めます。甘いものなどめったに食べられない時代ですから、夢中で舐めているうちに、壷は空っぽに。さあどうしよう・・・というので二人は策を練ります。
 昔話などで聞いた覚えのある方もあるかもしれませんが、「附子(ぶす)」は、狂言の有名な演目。若い家来二人の機転の利くやりとりと、食べたくて我を忘れるその幼さがアンバランスでゆかいです。

 



もちづきくん


中川ひろたか

長野ヒデ子
ひさかた
 ¥1,050.(税込)
横20×縦27cm
対象:3歳から

 お正月が近づくと、もちづき君は忙しくなります。彼の仕事はお餅つき屋さんで、年の暮は町のあちこちに「お餅つきの出前サービス」に出かけて行くからです。準備をしているもちづき君の、「ねこの手も借りたい」と言うのを聞きつけて、ねこも1匹やってきて、ふたりは おいしいおもち つきます の幟を立ててにぎやかにくりだします。町では「いちねんぶりねぇ」「まってたわぁ」と声が掛かって、さあ、お餅つきの始まり。
 お餅はスーパーで買うものという暮らしの現代っ子たちに、是非お餅つきを楽しませてあげたいですね。つきたてのお餅を食べ過ぎてお腹が苦しくなる、あの体験も。12月はクリスマス特集になるので、一足早い「もちづきくん」のご紹介でした。


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