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“冬のおはなし”特集 2009.1
大好きだけど、寒い季節にしか手にしない絵本、本棚に何冊かありますね。穏やかな季節にも暑い季節にも似合わない、空気がつんと冷たい、外に出るときはつい肩に力を入れる、そんな季節にだけ楽しめる、取って置きの冬の絵本。今この季節にこそぴったり似合う絵本たちを、暖かなお部屋で開いてみませんか・・・。 |
てぶくろ ウクライナ民話 |
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ラチョフ絵 うちだりさこ訳 |
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おじいさんが森に落とした手袋を、ねずみが住まいにしました。ところが、こんなに暖かそうな手袋の家ですもの、かえるや、うさぎや、きつねや、・・・・・そして、とうとう大きなイノシシやクマまでが「いれておくれ」と次々やって来ます。その形式化されたやり取りの面白さ、たくさんの生き物たちがどんどんもぐり込んで行くことの出来る不思議な手袋、絵本に姿は描かれてはいないけれど、「わん、わん、わん」と吠え立てて存在感のある小犬など、何度読んでも飽きないおもしろさがこの絵本にはあります。また、内田さんの訳がとても美しいので、声に出して読む時の喜びも味合えます。この名作と出会うチャンスを逃さないよう、2歳か3歳の冬には忘れず手にしてください。 |
ロシアの民話 ゆきむすめ |
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岸田衿子文 スズキコージ絵 ビリケン ¥1,470.(税込) 初版2005.2 横26cm×縦22.5cm 対象:4歳から |
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雪で作ったお人形が女の子になって、子どものいないおじいさんおばあさんと暮らし始めます。愛らしいだけでなく優しくて賢いむすめは、村の子どもたちとも仲良しになりますが、季節が春に向かうにつれて、女の子は元気を無くしていきます・・・。焚き火を飛び越して消えていく雪むすめのお話は、雪深いロシアに、連綿と語り継がれてきたのでしょう。雪娘の気持ちを思っても、おじいさんおばあさんや村の子たちを思っても切ないお話を、透明感のある絵の中に味合うことができます。スズキコージの絵は奇妙や奇怪ばかり(それも大好きですよ!)と失礼な思い込みをしていたわたしは、この絵本ですっかり認識を改めました。 |
ねこのセーター |
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おいかわ けんじ/たけうち まゆこ作 |
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どんぐりに帽子をかぶせるのがお仕事だけど、あまり働き物じゃないねこ。セーターにふたつも穴が開いているのに、それを着続けているねこ。このねこは何しろ、怠け者で面倒くさがりで恥ずかしがりでせっかちで、お行儀が悪くて泣虫なヤツなのです。「そんなお話を子どもに聞かせるなんて!」 と思うあなたは、とてもきちんとした方。猫の気持ちわかるよな〜って思う私は、ねこと同じくルーズなヤツ。愛すべきルーズねこ! 100%ORANGEのいかにも彼ららしい一冊です。 |