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“オニの絵本だよ!”の号 2010.1
鬼といえば、日本の昔話が誇るモンスター。大きくて強くて残酷で、特殊能力もあるらしく、でもどこかお人良し・・・というのが、そのイメージです。その本当の姿は、島国日本に住む昔の人々が、偶然出会ってしまった異民族・外国人なのではなかったかとわたしは密かに思っています。でも、ヒサクニヒコさんは「オニの生活図鑑」で、桃太郎や一寸法師が退治してしまったから鬼はもういないのだと書いています。すると、鬼は絶滅してしまった民族なのでしょうか? うむ、ロマン! |
こぶじいさま |
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松井 直文 赤羽末吉絵 |
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むかし、ひたいにこぶのあるじいさまがいて、このじいさま、山で木を切っているうち日が暮れてしまいます。仕方なく山の神様のお堂で寝ていると、夜更け、たくさんの鬼たちがやって来て、お堂の周りで歌ったり踊ったり。そのあまりの面白さに、こぶじいさまは怖さも忘れてお堂を飛び出し、鬼どもに混ざって夢中で躍ります。じいさまの踊りが愉快で上手いのを気に入り、鬼たちは「明日の晩も来いや」「それまで、おまえの大事なこぶは預かっておく」と、じいさまのこぶを取ってしまいます。大事などころか邪魔ものだったこぶがなくなり、じいさまは喜んで家に戻ります。 |
こぶとりたろう |
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たかどの ほうこ文 杉浦範茂絵 童心社 ¥1,575.(税込) 初版2009.11 横24cm×縦23cm 対象5歳から |
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たろうの成績がこんなに悪いのは頭が固いせいだと、おかあさんは太郎の頭におまじないをかけた。すると、太郎の頭はやわらかくなり、どんな問題もすいすいと出来るようになったのだが、その時たろうの頭にぼこぼことこぶが!妹のちょん子の観察では、それは「算数のこぶと国語のこぶと社会のこぶと理科のこぶ!」らしい。いくら頭が良くなっても、こぶのある頭なんてかっこ悪いと落ち込むたろうに、ちょん子は「こぶじいさま」の鬼に会いに行こうと言い出した。 |
鬼の首引き |
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岩城範枝文 井上洋介絵 |
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昔、力自慢の若者が旅をしていて鬼に捕まった。「姫に食われたいか?わしに食われたいか?」と鬼。「どうせ食われるなら、お姫様に食われたい」と答えて、若者は、人を食ったことのない娘鬼のお食い初めに志願する。この姫、鬼の子とは言え箱入りで、「ととさまが かじって・・・」と甘え、若者の大声に怯え、なかなか人を食うことが出来ない。若者も、食われまいと知恵を絞りるが、「もういやじゃ、いやじゃ、ひとなど食わぬ」と泣き出した娘を見た父親鬼が、仲間の鬼たちを加勢に呼んだからさあ大変! |