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“おくりもの・・・”の号 2010.11
お誕生日やクリスマスのために、時間をかけて準備する贈り物があります。相手の気持ちを思って、ふと贈りたくなる贈り物もあります。そして、贈った人の思惑を超えて、相手の心を動かす贈り物も・・・。プレゼントされるのも勿論嬉しいことですが、贈る側に立つこともまた大きな幸せです。 |
ベンジーの もうふ |
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マイラ・ベイリー・ブラウン文 ドロシー・マリノ絵 まさき るりこ訳 あすなろ書房 ¥1,365.(税込) 初版2010.10 横21cm×縦18.5cm 対象3歳から |
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ベンジーには、大好きな毛布がありました。赤ちゃん時代からのその毛布はもうすっかりぼろぼろでしたが、ベンジーは今でも、毛布を持たずにはどこにも行けず何も出来ないというふうでした。触るとふわふわで気持ちの良い、特別な毛布!お母さんは彼のそんな気持ちを分かってくれて、「もうじき そのもうふが いらなくなるわよ」と励ましてくれるのでした。そして、本当にそんな時はやって来たのです。「ベンジー、もうふ わすれてわよ」と言われることが多くなってきたある日、ベンジーは、彼の毛布が本当に必要なのは、お隣の子猫であることに気付いたのです。かごの中で「ベンジーの毛布」に包まった子猫の幸せそうな様子を見て、彼はとても誇らしい気持になるのでした。 |
クリスマスの ちいさなおくりもの
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アリスン・アトリー作 |
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クリスマス・イブ。ねずみがねこに、この家はクリスマスのお祝いの支度がなんにもできていないと訴えます。お母さんは入院中で、家族は沈んだ気持ちのまま、もう眠ってしまったのでした。「こんやは、みんなが なかよくする よる、でしょ。」と言われ、ねこは支度をすることにします。お菓子を焼いたり部屋を飾りつけたり、クモとねずみたちとで働き、何から何まで準備は整いました。真夜中にやって来たサンタさんも、お菓子をご馳走になってすっかり満足の様子。ネズミたちの靴下にもプレゼントを入れ、「さあ、クリスマスだ。どんなに ちいさな つつましいものたちのことも、わすれてはならないぞ。」と、また出発していきました。そして翌朝。靴下にプレゼントを見つけた子どもたちの喜びは、言うまでもありません。 |
ふしぎなボタン |
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ミルヤ・オルヴォラ文 |
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100年ほど前、プアンという男がいました。彼は病弱の体をおして、納得のいく出来栄えのボタンだけを作り続ける、貧しいボタン職人でした。ある時、国の王様が村を通りかかり、彼のボタンに目を留めて、作業場を訪ねました。プアンの仕事へのこだわりに感心する王さまにプアンは、王女様への贈り物を預けます。「生きる力や美しいものを感じる力を授けてくれる」というそのボタンを、王女は大層気に入り、結婚式のティアラに取り付けさせました。しかし王女のボタンはパレードの途中で無くなってしまい、それから100年後に清掃人だった若い男の手に渡ります。それがきっかけでこの男もボタン職人になった・・・という、長い長いこの物語。その中で、描かれているボタンの美しさとともに心に残るのは、ボタンをなくした王女に語りかけた王様の言葉です。それがどんな言葉だったのかは、本を手にしてあなたが確かめてくださいね。 |