木のそばに暮らして”の号 2012.11

 

 植物は自分で栄養が作れるので歩かなくていいのだ・・・と知ったときには、ちょっとした衝撃でした。歩けないのではない、歩く必要が無いのです。木から見たら、食料を求めて歩き回らなければならない動物こそ、気の毒な生き物なのかもしれません。その木のそばに人間は暮らし、捕食者から逃れたり雨露しのいだり、実りをもらったりして来ました。コンクリートの建築物で暮らすようになった今も、わたしたちは身近に緑が欲しいと感じ、子どもたちは木に登り木の実を拾います。長い長いお付き合いです。

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もりのかくれんぼう

  末吉暁子 
  林明子
  偕成社
  \1,050.(税込)
  初版1978.11
  横21cm×縦25.5cm
  対象:4歳から 

 

 お兄ちゃんを追いかけてもぐりこんだ生垣の先に、森があって、けいこは木の枝みたいな男の子かくれんぼうに出会います。彼が「かくれんぼするもの よっといで」と呼びかけると、森の動物たちが集まって来ました。オニになったけいこは、木の枝や幹に溶け込むようにして隠れた動物たちを、目を凝らして探します。金色の森に招かれた女の子が経験する、夢時間。
 けいこが動物たちを探すところは「隠し絵」になっていて、読者はページの上で絵さがしを楽しむことが出来ます。秋になると必ず、お店の目立つところに並べてお奨めしたくなる1冊です。

 


 

おぼえていろよ おおきな木
佐野洋子 作・絵
講談社
\1,050.(税込)
初版1992/12(銀河社版1990.11)
横15.5cm×縦22cm
対象:5歳から

 

 おじさんの家の前には1本の木がありました。春には花を咲かせ、秋にはたくさんの実を実らせる立派な木でした。でもおじさんは、文句ばかり言いました。日陰になる、小鳥が来て鳴いてうるさい、毛虫が付く、枯葉が落ちると。木を蹴飛ばして、「おぼえていろよ!」と怒鳴りました。とうとうある冬の日、おじさんはこの木を切り倒してしまいました。すると、おじさんの暮らしはすっかり変わってしまいました。そして・・・ まだ続きますよ、絵本ですからね。とても素敵な最後のページまで、ぜひ読んでください。
 佐野さんは、シェル・シルヴァスタインの「おおきな木」を読んでこの絵本を描いたのかしら?と、時々考えます。流れているものは同じ。でも、この絵本は、佐野さんにしか描けない木のお話です。

 


 

どんぐりノート

いわさゆうこ・大滝玲子
文化出版局
\1,365.(税込)
初版2010.7
横16cm×縦26cm
対象:小学生から

    

 子どもの時には、どんぐりは 「どんぐりの木」に生るのだと思っていました。それがブナ科の木に生る実の総称だと知ったのは、大人になってからです。どんぐりの木(じゃないんだけど・・・ ^^)は案外身近にあって、秋には思いがけないところで、どんぐり坊やを拾うことがありますね。
 ツヤツヤの固い体にいろんな形の帽子をかぶった、魅力的な木の実どんぐりについて、丁寧なスケッチと幅広い情報がたっぷり掲載されているのがこの図鑑です。染めたり食べたり、遊んだりについてのアイデアいっぱいですよ。


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