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“願い”の絵本の巻 2012.4
何かを願わない人はいないでしょう。ささやかな望みから遠大なものまで、中には身勝手な願いもとさまざまに。そして、叶って幸せになる人もいれば、叶わないほうが良かったと知る人も。結局は、毎日を大切に、誠実に生きることが、願いを実現する一番の近道なのかもしれません。けど、一生に一回くらい努力無しで、どーんと夢が叶ってみたい・・・と思うわたしです。(^^) |
みっつのねがい エストニアの昔話 |
ピレット・ラウド文・絵 前沢明枝訳 福音館 \1,365.(税込) 初版2012.1.20 横25cm×縦25cm 対象:4歳から |
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そろいに揃って怠け者の夫婦。働かなければ暮らしにも困ります。そんな二人がある日ひょんなことから、「みっつのねがい」を叶えてもらえる事に。さあ、ふたりはまさに夢のような願い事を次から次へと思いつくけれど、これと決められないまま、とうとう願いの叶う3日目の朝。キャベツだけのスープを作ったおかみさんは、うっかり「ソーセージがあれば・・・」と言ってしまいます。すると“どすん!”と大きなソーセージが。それを見てカッとしただんなさんは、「お前の鼻にでも くっつけておけ!」この願いも叶ってしまい、残ったひとつの願いは、おかみさんの鼻からソーセージ取るのに使うしかありませんでした。でもね・・・ふたりはその後、幸せな仲良し夫婦になるのです。それがなぜだかは、どうぞ続きをお読み下さい。 |
わかがえりの水
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広松由希子作 スズキコ−ジ絵 岩崎書店 \1,470.(税込) 初版2011.12.30 横22cm×縦29cm 対象:4歳から |
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おじいさんが山で炭焼きをしていて、喉が渇き、岩陰の湧き水を飲むと、おいしくて気持ちが良くて、もりもり元気が沸いてきましたって。それで仕事もはかどって、たくさんの炭を担いで家に帰ると、そのおじいさんを見て、おばあさんはびっくり。湧き水を飲んだおじいさんは、髪はふさふさ背中はまっすぐ、すっかり若返っていたのです。それで、おじいさんばっかり若返ってずるいと思ったおばあさん、自分も山の泉に出かけて行きましたが、いつまでたっても帰ってきません。心配になったおじいさんが迎えに行くと、そこには、おばあさんの着物にくるまった赤ん坊がいたのです。 |
スマッジがいるから
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ナン・グレゴリー作 ロン・ライトバーン絵 岩元 綾訳 あかね書房 \1,470..(税込) 初版2001.6 横27cm×縦22cm 対象:6歳から |
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ホスピスでお掃除の仕事をするシンディは、(そうは書いてないのですが)障害を持つ女性です。ある日雨の中で子犬を見つけたシンディは、飼えないことを知ってはいましたが、住まいである“ホーム”にこっそり連れて帰りました。自分を頼り、安心しきっている子犬を、何とか世話し続けたいシンディ。しかし、子犬は見付かってしまい、ホームの人たちに連れて行かれます。自分自身のことを自分で決められない不条理に苛立ち、子犬の気持ちを思って涙するシンディ。しかし彼女は諦めず、自分に出来るあらゆる方法で子犬を取り戻そうとします。 シンディの気持ちや子犬が寄せる信頼感を、飾らない筆のタッチとと押さえた文章が伝えて来る、完成度の高いこの作品、何度読んでも、子犬が彼女の手に戻る最後の場面では、ああ良かった・・・と呟いてしまいます。 |