“自分の仕事を見つけよう”の号 2013.4
新学期。大学や就職が決まったというお知らせをたくさんいただきました。一生の仕事を決めること、それを実現すること、どちらもそう簡単にいくことではありません。それだけに、天職と思える仕事に出会えるなら、それは本当に幸運なことですね。今月はお仕事の絵本の特集です。 |
おとうさんは うんてんし |
平田昌広 文 鈴木まもる 絵 |
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電車の運転士であるお父さんを尊敬し、自慢に思う“ぼく”は、お父さんが仕事で使うのと同じ時計を買ってもらった。お友だちに、その時計やお父さんを自慢したくて仕方がない“ぼく”に、お父さんは「いちばん たいせつなのは あんぜんに うんてんすること。」「てつどうのしごとは ほかにも いろいろ あるし、どれも たいせつだよ。」と話して聞かせます。自分の仕事に責任を持つ大人のかっこよさが伝わってくる、素敵な作品です。 シリーズに、「「しょうぼうし」「だいくさん」「パンやさん」があります。 |
ピアノ調律師 |
M.B.ゴフスタイン 文・絵 |
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ある事情で孫娘と暮らすことになった調律師は、周囲の心配をよそに、自分が音楽を知っているということを拠り所にして孫との生活をスタートさせます。ふたりは仲のよい家族となりました。が、孫娘の関心は、おじいちゃんの望む「ピアニスト」ではなく、「調律師」の仕事へと向かい始めます。その様子を見て戸惑う調律師に、彼を「世界一の調律師」と評する有名ピアニストがこう説くのです。「人生で自分の好きなことを仕事のできる以上に幸せなことがあるかい?」 |
チェロの木 | いせひでこ絵 偕成社 \1,575.(税込) 初版2013.3 横23cm×縦28.5cm 対象:小学生から |
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おじいちゃんは、木を育てるのが仕事でした。その木を何年もかけて乾燥させ、お父さんはバイオリンやチェロを作っています。ある日お父さんがチェロを届けに行くのについて行った少年は、チェリストがお父さんのチェロを弾くのを初めて聞いたのでした。その音色は、おじいちゃんの森そのものでした。森の音を聴いて育った木と楽器を作った人、音楽を作った人、演奏家のつながりを、少年は実感します。お父さんから子ども用の美しいチェロを贈られて、チェロを奏でることに夢中になる少年・・・。そして、大人になった彼がどんな仕事を選んだのかが語られる最後の1ページが、本当に素敵です。自身もチェロを弾く伊勢さんの、まるで音楽が聞こえてくるような絵本です。 |