みんなとちがうところ・・・”の号 2013.8

 ともだちと自分の「違うところ」に気付くようになったのは、わたしは多分幼稚園の頃。でもそのことについて深く考えるようになったのは、小学校も高学年くらいからかと思い出しています。その「違うところ」は、ちょっと嬉しく思える程度のことであったり、気分の沈むことであったり。でもそういう経験があって、自分という存在を認識し受け入れてこられたのでしょう。あなたはどうでしたか? 
 みんなと違う所があるのも悪くない!と思わせてくれる、3冊の絵本をご紹介します。

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ぼくは ここにいる

 

ピ−タ−・H.レイノルズ 文.絵 
酒木保 
小峰書店
\1,470.(税込)
初版2013.6
横21cm×縦20cm
対象:5歳から 

 

 

 友だちが大勢で遊んでいる。さわがしく楽しそうな声。でも、ぼくの耳にはそれが、ガンガンと大きな音となって響く。だから、みんなはむこう。そして、ぼくはここにいる。ぼくが楽しめるのは、やさしく吹く風やクルクル回る葉っぱ。その時、白い紙が落ちてきたので、ぼくは紙飛行機を折って、それを力いっぱい空へ飛ばしたよ。“ぼくが ここにいいる!”と。 すると紙飛行機は、むこうにいるみんなの所に届いて・・・。
 感覚やコミュニケーションの違いを受け入れつつ、ともだちとして出会える可能性が、自閉症の男の子の側から描かれています。人との違いを「障害」ではなく「個性」と捉えた暖かかな作品です。

 


 

 

わたしのすてきな たびする目

 

ジェニー・ス-・コステキ=ショ−  文・絵 
美馬しょうこ    
偕成社
\1,680.(税込)
初版2013.6 
横23.5cm×縦28.5cm
対象:5歳から

 

 

 わたしの左目は、右目と別の方向を見る。美しいものや素敵なものをみつけるのが、この左目=旅する目。右目が数字を読んだり地図を見たりして案内してくれるから、わたしは大丈夫。「イグアナの目」とからかわれても平気。本来の視線とはちがう方向に向いてしまうの右目を、とっても素敵だと思っている女の子だったが、ある時“斜視”の治療を受けることになった。
 「じぶんだけの みかたで せかいをみる」ことに、大人になった今も誇りを持っている作者の、幼児期の体験をもとに描かれたお話です。

 


 

フレデリック

 

レオ・レオニ 文・絵 谷川俊太郎 
好学社
\1,529.(税込)
初版1969

横23cm×縦28.5cm
対象:5才から

 

    

 近づく冬に備えて、仲間の野ねずみがせっせと食べ物を集めて働いている間、フレデリックは座り込んでじっと景色を眺めていた。「どうして きみは はたらかないの?」と聞かれると彼はと答えた。「こうみえたって はたらいているよ。」 さて、冬。蓄えた食べものも乏しくなり、寒さに凍えるようになると、フレデリックは秋の間に溜めこんでいた“ことば”を取り出して、みんなに聞かせた。お日さまの光や美しい色でいっぱいの景色、めぐる季節についての詩。そして、仲間の心に「暖かさ」や「楽しさ」を思い起こさせた。ことばで仲間を幸せにする、詩人という仕事をえらんだ野ねずみのお話です。


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