作る暮らしを考える”の号 2014.6

 現代ではほとんどの人が、お金を出して物を買う暮らしをしています。それに慣れてしまっている日常の中で、家庭菜園や手作り講座などで作る体験をするのは、いろんな意味で新鮮です。ある時代までは、生活で使うものを自分の手で作るのが当たり前だったんですよね。なにかひとつでも自分で作り出せる人でありたいと思いつつ、実現できない街暮らしの私自身が、ちょっと残念です。

 

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ホットケーキできあがり!

エリック・カ−ル 文.絵
ア−サ−・ビナ−ド 
偕成社
本体 \1,400.
初版 2009.9
横21cm×縦29cm
対象:5歳から

 

 

 

 朝目が覚めたとき、ジャックは思った。「きょうは でっかい ホットケーキが たべたいなあ。」 母さんにそういうと、「まず こむぎこを よういしなくちゃ。」 ジャックは小麦畑で麦刈りをして、小麦を水車で挽いてもらいました。でも、それだけでは、おいしいホットケーキは焼けませんね。めんどりから卵をもらい、雌牛からミルクを貰い、ミルクからバターを作り・・・。そして、薪を燃やしてようやく焼くことができた、こんがり狐色のホットケーキのおいしそうなこと! これを読むと、ホットケーキミックスじゃ満足できなくなりますよ。

 


 

 

風の島へようこそ

 

アラン・ドラモンド 文・絵
松村由利子 
本体 ¥1,300.
初版 2012.2.20.
横25.5cm×縦26cm
対象:5歳から

 

 

 

 デンマークのサムス島では、豊かな自然のなかで人々は遊んだり働いたりと、ごくごく普通の暮らしを楽しんでいました。島の外から届けられる電気や燃料も、どこで作られるかなど考えることもなく、必要なだけ使っていました。そんなサムス島にある時、島で使うエネルギーを島内で作るというプロジェクトが持ち上がりました。
 最初、みんなは思いました。「どうして?」「むり」「めんどくさい」 でも、幸いなことにサムス島は風の強い島でした。チームリーダーの勧めに心を動かされた一人が、小さな風車を建てて電気を作り始めたころ、嵐で島は停電に。そんなこともきっかけとなり、島のみんなの気持ちは動き始めます。太陽発電を始める人。麦わらや木切れを暖房に使う人。菜種油を燃料にする人。そんな工夫の積み重ねの中で、島は本当に、自分たちが使うエネルギーを自分たちで作り出す夢を実現します。
 原発や環境汚染を声高に言ってはいませんが、自分たちが使うものを自分たちで作るという、ある意味で当たり前のことをやりとげたこのお話には、エネルギー問題に関するヒントがいっぱい詰まっているように思えます。

 


 

 

えのすきなねこさん

 


西巻茅子 作・絵
童心社
本体 \1,200.
初版 1986.2.25
横19cm×縦27cm
対象:4歳から

 

 

    

 ねこさんは絵を描くのが大好きで、朝から晩まで絵を描いてばかりいました。そこへ、ミシン掛けの好きなうさぎが、ねこさんのためにシャツを縫って届けてくれました。うさぎは言います。「えなんて なんの やくにたつのかしら」 魚釣りの得意なきつねも、魚を持って来てくれて言いました。「えなんて なんの やくにたつんだろう」 大工のさるも、壊れた椅子を直してくれながら、同じことを言いました。
 そしてある雨の日、退屈した3人の友達は絵を見せてもらおうと、ねこさんの家にやって来ました。ねこさんから、「さるさんと きつねさんと うさぎさんのえも あるんだよ」と言われた3人は、自分の絵を探し出して、びっくりしたり笑ったり。絵を見るってなんて楽しいんだろう!と、気付いたのでした。
 この絵本を読むと、レオ・レオニの「フレデリック」を思い出します。フレデリックの場合は、寒くて辛い冬に、暖かいおひさまの詩で仲間を励ましたのでしたが。西巻さんもきっと、絵本で読み手を幸せにしたいと思っていたのでしょうね。


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