“いいこ・わるいこ・・・ ”の号 2014.11

 長いこと子どもたちと付き合っていると、大人にとっての「いい子」タイプは、むしろちょっと不安に思えます。子ども時代はお試し期間だもの、良い事悪いことどちらも経験をして、大人になった時正しい判断ができる人になってくれたらいいのです。そのためには「いけないこと」の体験は貴重だと思うのですけどね。それにね、ちょっとワルなタイプの子って魅力的。・・・なんて思うのは私だけでしょうか?

 

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ねずみがぱくっ!

西村敏雄 文.絵
白泉社
本体 \838.
初版 2014.9
横17.5cm×縦17.5cm
対象:1歳から

 

 

 

 ねずみくん、ジンジャー色の何かを大口開けてぱくっ!お腹すいてたんですね。でもその“何か”はねこさんのしっぽだったので、さあ大変。ねこさん、にゃお〜!と驚いて、これまた目の前にあった“何か”にぱくっ!ああ、それいぬさんのしっぽなんですけど・・・。こうして、「ぱくっ!」は、次々と目の前にいる動物たちに移っていって、最後は、うしさんがねずみくんのしっぽをくわえました。こうして、ねずみ⇒ねこ⇒犬⇒ぶた⇒うし⇒のまぁるい輪っかができましたよ。
 子どもって、友だちづきあいに随分と乱暴な方法を使ったりもしますよね。いきなり「パンチッ!」とか。この絵本はねずみくんの勘違いから始まったのですが、最後はみんなニコニコで、誰も怒っていない。ねずみさんの「ぱくっ!」が、楽しい遊びののきっかけになったようです。



ぼくのコブタは、いいこでわるいこ

マ−ガレット・ワイズ・ブラウン 
ダン・ヤッカリ−ノ .絵
灰島かり 訳.
BL出版
本体 \1,300.
初版 2007.7
横21cm×縦26cm
対象:4歳から

 

 

 

 ピーターは、コブタを飼うことにしました。ママは反対しましたけどね・・・。ピーターの条件は、きれいでいい子のコブタ。だけど、いい子すぎるのはつまらないので、農場のおじさんには、「ちいさすぎなくて、でも おおきすぎない」そして、「いいこすぎなくて、でも わるいこすぎない」コブタをお願いしたのでした。ところで、農場には5匹のコブタがいて、そのうちの一匹だけが、ピーターの条件に合っていたのです。さっそくそのコブタがピーターの家に送られてきて、二人はお互いをすっかり気に入りました。何しろそのコブタは、いい子だけどちょっとだけ悪い子で、男の子と暮らすのにぴったりだったのです。そうそう、子どももコブタも、いい子過ぎない方がいい!



もったいないばあさんの

   てんごくとじごくのはなし

真珠まりこ 文.絵
講談社
本体 \1,400.
初版 2014.9
横22cm×縦30.5cm
対象:5歳から

 

 

 

 もったいないばあさんが夜道をてくてくあるいていると、そこは地獄の入口。地獄に落ちた大勢の人たちが、鬼の作るスープの大釜を覗いています。スープが出来ると、人々は相手をおしのけ我先に飲もうとするのですが、スプーンの柄が長いせいで、スープは誰の口にもはいらずこぼれてしまいます。そこで、もったいないばあさんは一喝。「ああ、もったいない!」 
 この後、鬼に飛ばされて天国に行ったもったいないばあさん。そこで目にしたのは、お互いに助け合ってスープを飲む人々の姿でした。もったいないばあさんはここで、お得意のセリフ。「もったいないこと なにもない!」
 ねずみやコブタのいたずらと地獄に落ちた大人たちの欲深さは、比べられるものではありませんね。説教臭さゼロ%のメッセージ絵本です。
  


 

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