“いのちについて ”の号 2015.2

 いつか大人になった時には、自分で考え、行動し、自分を守れる人であってほしいから、今は大切に守られている小さな人たちにも、機会あるごとに触れていって欲しいテーマ、“いのち”について。ちょっと重いけれど、大人と一緒に読んでくださいね!ということで、この三冊をお勧めします。

 

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ピンクがとんだ日

村上康成 文・絵
徳間書店
本体 \1,500.
初版 2014.10
横26.5cm×縦22cm
対象:4
歳から

 

 

 

 山の奥の美しい渓谷にうまれて、生きて、冒険も恋もしたヤマメのピンクの最後の日のおはなし。その日も夜があけると、森の動物たちが川の岸辺に水を求めて集ってきた。ピンクたち魚も、泳ぎ回ってエサを探す。やがて、お父さんと男の子がやって来て釣り糸をたれた。釣り針の先に付けられたアリにうっかり食いついたピンクは、男の子に釣り上げられたが、危うくその手から逃れて水の中へ。が、次の瞬間、水中にピンクを追いかけてきた者があった。それは・・・。1982年第一巻「ピンク・ペッコン」の発行から33年、「ピンクとスノーじいさん」「ピンクとパール」を経て、この「ピンクがとんだ日」で、ピンクの命は別の命へと引き継がれていきます。



つなみ てんでんこ

はしれ、上へ!

 

指田和 
伊藤秀男 
ポプラ社
本体 \1,300.
初版 2013.2
横28cm×縦23cm
対象:小学生から

 

 

 

 

 津波の危険のない地域に住むわたしは、東日本大震災ではじめて「つなみ てんでんこ」という言葉を聞きました。津波が来たら、誰かを待ったり探したり頼ったりしないで、とにかくてんでに逃げなさい、という意味合いの防災標語だそうです。その日3月11日、学校にいた子どもたちは激しい揺れの後、津波警報を聞いて、まさにてんでんこ逃げたのでした。走って走って生死の境目を走り抜けて、自分の命を守った子どもたちは、その後また、日常の生活を取り戻すための試練に立ち向かわねばなりませんでした。この過酷な出来事を、ただ悲しいだけの絵本にしなかった作家と画家に脱帽。自然を受け入れ、前に向かおうとする最後が、「始まり」でもあります。



へいわって すてきだね

安里有生 
長谷川義史 
ブロンズ新社
本体 \1,400.
初版 2014.6
横22cm×縦27cm
対象:子どもから大人まで

 

 

 

 第二次世界大戦末期、沖縄は日本で唯一の地上戦となり、多くの民間人が犠牲になったという悲しい歴史がある。時は流れ、今その沖縄で平和な日々を送る小学生・安里君が書いた「へいわって すてきだね」という詩が、沖縄戦全戦没者追悼式で読まれて、聞く人の心を捉えた。その詩に、「ぼくがラーメンたべてるとき」の作者である長谷川さんが絵をつけたのがこの絵本。緑あふれる大地で、安心して暮らすことができる。その素晴らしさに気づくことから、平和について考えることをはじめていこう。


 

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