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“遠い国に語り継がれているお話 ”特集 2015.5
グリム童話ならいくつか題名を挙げられるほど、日本のわたしたちにも、ヨーロッパの昔話は馴染みがありますね。(画一的なディズニーの絵で出会うことが多いのは残念ですが。)でも、日本からからもっと遠い国、中東やアフリカの昔話はどうでしょう。今回は、そんな国々のお話をご紹介します。 |
ふしぎなボジャビのき アフリカの昔話 |
ダイアン・ホフマイア− 文 |
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アフリカの草原は長い日照りで、動物たちには食べるものがありませんでした。みんなでさまよっていると、おいしそうな果物のなった木が見つかりました。けれどもその木には大きなヘビが巻きついています。ヘビは、木の名前を当てたらどどいてあげようと言いますが、動物たちはだれもこの木の名前を知りませんでした。そこでシマウマが、サバンナの王であるライオンに、その名を聞きに行くことになりました。不機嫌なライオンからやっとのことその名を「ボジャビ」と教わったシマウマは、有頂天のあまり、帰る途中で肝腎な名前があやふやになってしまします。次に行ったサルも、そのまた次に出かけたゾウも、聞いた名前を戻るまで覚えていることができないのです。日本の昔話「だんご どっこいしょ」を思い出すような展開に、ハラハラしたり、笑ったり。おおらかな南の大地のお話です。 |
カワと7にんのむすこたち クルドのおはなし |
アマンジ・シャクリ−&野坂悦子文 |
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働き者の鍛冶屋カワは、7人の息子たちと毎日仕事に精を出し、村のみんなと力を合わせて暮らしていました。しかしこの国の王は悪魔の陰謀で蛇にとりつかれ、ささげものにと国中の羊を集めて殺すようになりました。そして、それでも足りず、今度は子どもたちを捧げよと! カワと村人は、子どもたちを守るために知恵を絞ります。冬を耐えた村人はとうとう城に攻め入り、カワは王に取り付いている2匹の蛇に、鍛冶屋の道具であるハンマーを打ち下ろしたのです。その昔に、搾取する支配者から自治を取り戻した歴史があったのではと思わせるこのお話。今また戦禍にある国を亡命した作家シャクリーと、翻訳者の野坂が再話しました。 |
白い池 黒い池 イランのおはなし |
リタ・ジャハ−ン=フォル−ズ 文 |
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父さんが亡くなったあと、義母も、仲の良かったその娘も、シラーズに辛く当たるようになりました。学校に通わせてもらえず、家政婦のように暮らす彼女は、冬支度にと母さんが残した毛糸玉を取り出します。ところが風が吹いて、毛糸玉は近所の家の庭に飛ばされてしまいました。諦めきれないシラーズが訪ねていくと、その家の恐ろしげなおばあさんに、庭も台所もたたきつぶせば毛糸は返してやると言われます。しかし彼女は、庭の手入れをし、台所を片付けておいしいスープを作ったのです。・・・ 誠実で働き者の娘と自分勝手で欲張りな娘のお話は、世界中にありますね。このお話のシアーラは、ラッキーガールというよりも、人の心の声に耳を済まし、相手が本当に望む通りにできる人だったようです。 |