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“星空のおはなし”の号 2016.8
お盆になると、工場の一斉休業の影響か街の空気は澄み、夜空がきれいです。家族でキャンプや旅行に出かけて、普段は見られない透明感ある星空を見る機会もあるでしょう。吸い込まれるような星空は、自分が地球という星にいることを実感させてくれますね。絵本の中のあちこちにも、美しい星空が描かれています。お気付きでしたか? |
わたしのワンピース
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にしまき かやこ 文・絵 |
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うさぎさんの真っ白なワンピースは、お花畑を通るとお花の模様に、雨の中を歩けば水玉模様にと、模様が次々に変わっていきます。小鳥の模様に運ばれて空に上ったうさぎさんは、うっとりと眠くなってしまいますが、原っぱで目を覚ました時、ワンピースは星の模様になっていました。きれいな星空のことを、うさぎさんは覚えていないでしょうけどね。 |
ブレーメンのおんがくたい グリム童話 |
ハンス・フィッシャ− 文・絵 |
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年を取って飼い主に捨てられたロバと犬と猫とオントリは、ブレーメンの街で音楽隊に入ろうと連れ立って出発します。街は遠く、途中で日が暮れました。野宿を覚悟ずる動物たちでしたが、木のてっぺんに登ったオンドリが明かりを見付けます。実は、そこは泥棒たちの隠れ家だったのですが。そこで四匹は一計を案じて・・・という、あのグリム童話です。動物たちが隠れ家を覗く暗闇の場面で、夜空には無数の星が降るように描かれています。老いぼれて棲家を追われた動物たちのために、こんなに美しい星空を描いてくれた画家に感謝!という気持ちになります。単に演出としての星空なのか、実際のところはわかりませんけどね。年老いた動物たちが泥棒たちの家を乗っ取るというなかなか厚かましい展開に、フィッシャーの絵はあまりに上品すぎるのではないか?むしろ、スズキコージやミューラー(←どちらも出版されています)の方が・・・と思いつつも、やっぱりこの作品も並べてしまうのは、多分星空の場面のせいだろうと思っています。勿論、瀬田貞二の訳の素晴らしさは言うまでもありません。 |
モチモチの木 |
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じさまと二人きりで、峠の猟師小屋で暮らす、まめた。じさまも、死んだおとうも勇ましい猟師なのに、まめたは五つになった今も、夜ひとりでおしっこにも行けない弱虫だ。じさまが、小屋の前のモチモチの木に火の灯る夜のことを話してくれた。それは山の神様のお祭りで、ひとりで見に行くことのできる勇気のある子にだけ見えるのだという。まめたは、そりゃあ見たいけど、ひとりで行くなんてとっても無理だと思っていた。そんなある夜、じさまが苦しむ声でまめたは目が覚めた。医者さまを呼ばなくっちゃ。まめたは、寝巻のまま、裸足で夜道を走った。夜道は怖いが、じさまが死んでしまう方がもっと恐ろしい。泣きながら走って医者さまを起こし、医者さまに背負われて小屋に戻ったまめたは、モチモチの木に明かりが灯っているのを見た。医者さまは、月と星の明かりが透けて見えているだけだと言うのだが・・・。 |