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“サンタさんの洋服”の号 2016.12
夜、ソリで空を飛んできた陽気なおじさんが、煙突から入って良い子にプレゼントを配ってくれる・・・というサンタさんのイメージは、クレメント・C・ムアの詩が元になっています。そして、ムアはこの詩でサンタさんのコートの色には触れていませんが、その後コカ・コーラが赤いコートのサンタさんをテレビのコマーシャルに使用したことで、サンタさんのイメージは、今わたしたちが思い描くような姿にほぼ世界中で定着したもののようです。それまで、サンタさんは世界各地の妖精物語や聖人と結びついた、様々な姿だったとか。ある意味、現代の子どもたちの信じるサンタさんは、テレビが作り上げた・・・と言えるもかもしれません。今回は洋服の色にご注目! |
クリスマスまえのばん |
クレメント・C.ムア 原詩 |
上の画像はケースの表紙。クロス装丁の本体は下のようなセピアです。
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デンスロウの挿絵になる クリスマスのまえのばん では、サンタさんは青いコートを着ています。この日本語版の底本となった原作は1902年の発行で、まだテレビCMの影響を受けていなかった為と思われます。開拓時代の質素だけれど暖かい家庭生活を彷彿とさせる、味わい深い絵です。画面左に本文、右側は絵が割り付けられていますが、左の本文の余白にもクリスマスを祝う家族のエピソードが小さなカットで散りばめられていて、楽しいクリスマスの雰囲気が伝わってきます。 |
ハリーのクリスマス |
メアリ・チャルマ−ズ 昨 |
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クリスマスも近づいた頃、こねこのハリーの街に、サンタさんが子どもたちの希望を聞きにやってきました。ハリーが欲しいのは、赤ちゃん猫でした。その願いは叶って、クリスマスの朝ハリーの用意したベビーベッドには小さな赤ちゃん猫がいました。さあ、その日からからハリーとお母さんは、赤ちゃん猫のお世話に大わらわとなりました。このお話では、サンタさんはクリスマス前だというのに、赤いコートを着て堂々と街のみんなの前に現れています。なかなか大胆なサンタさんです。 |
おとうさんねずみのクリスマス |
クレメント・C.ムア 原詩 |
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この絵本も、ムアの詩を元に組み立てられたお話ですが、、夜中に目を覚ましてサンタさんを目撃するお父さんは、実は図書館ねずみの主人公である彼。(だから、ねずみ一匹あらわれぬ・・・の部分が原作とは違っていますよ。)そして、ご注目いただきたいのが、おとうさんねずみの出会うこのサンタさんの服装です。そのコートは赤は赤でも、赤のタータンチェック。それに三角帽子ではなくひさしと耳当てのある防寒帽を被っています。もう古典的な服装には飽きて、ちょっとおしゃれをしたくなったのかしら?と思わされますが、それでも、子どもたちには間違いなくサンタさんとわかる出で立ちです。訳は、奇しくも福音館版の訳者の息子さん。 |