“お人形が主人公” 2017.4

 お人形の活躍する絵本はたくさんありますが、そのほとんどは、お人形の姿を借りた<子どもが主人公>のお話です。そういった絵本では、自分だったら絶対こうする・・・という行動を取るお人形たちの様子に、子どもたちは大いに共感するのです。一方で、お人形自身の気持を扱った絵本は?と思い、探してみました。現実生活で子どもの遊び相手をしているお人形たちが、持ち主の子どもに何を感じどんな思いを寄せるのか、その気持ちを覗いてみてください。

 

バックナンバーリストはこちらをご覧下さい。

書名からの検索はこちへどうぞ




  ほげちゃん

 

 

やぎ たみこ  文・絵
偕成社
本体 ¥1,000.
初版 2011.6
横19cm×縦24cm
対象:3歳から

 

 

 

 ゆうちゃんに送られてきた、この、なんというか・・・、とっても個性的なぬいぐるみ。幸いゆうちゃんに気にられて楽しく過ごす毎日でしたが、ある日、家族のお出掛けに連れて行ってもらえなかったことに、彼、すっかりご立腹!そもそも、カバのぬいぐるみだと思われて(本当はクマだよ)ほげちゃんなんていう名前を付けられて、汚されて、挟まれて、その果てに置いていかれて、もう〜!という訳で、お留守番の間に飼い猫のムウを巻き込み大暴れ。家の中は大変なことになってしまいます。
 この絵本を手にした時には、まず表紙の顔に引き、ページを開いて、その暴れっぷりにくじけそうになりました。所詮わたしは大人です。ほげちゃんは子どもたちに歓迎されて、続編、続々編と3冊揃ってお店に並んでいます。

 

 

かしこいビル

 

ウィリアム・ニコルソン 昨・絵
まつおかきょうこ・よしだしんいち 
ペンギン社
本体 \1,000.
初版 1982/12
横25cm×縦18.5cm
対象:4
歳から

 

 

 

 鼓笛隊のお人形のビルは、メリーのお気に入りです。勿論ビルの方でも、メリーは誰より大事な人でした。ある時メリーは、おばさまのご招待でお泊まりに出かけることになりました。トランクに身の回りのものと、お気に入りおもちゃを詰め込んで、出発!ところがなんと、メリーはビルを忘れて出かけてしまったのです。置いて行かれたビルはさめざめと泣いて、それから起き上がって、走り始めました。すごいスピードで走りに走って汽車を追い越し、メリーの降りるドーバー駅で待ちました。きりりと敬礼をしてホームに立つビルの姿に、メリーはどんなに感激したことでしょう!

 

 

みてみておかあさん

 

LEE 
みやこしあきこ
白泉社
本体 \1,300.
初版 
2017.3
横19.5cm×縦26.5cm
対象:5歳から

 

 

 

 お母さんは赤ちゃんのお世話に忙しくて、みなちゃんの相手をする暇がありません。「みなちゃん あとにして。」 みなちゃんだって、お母さんが大変なのは分かっています。だから、ひとりでできることは頑張ってやっていたのです。寂しくなったみなちゃんは、ぬいぐるみを抱いてクローゼットに隠れました。するとそこには遊び仲間のお人形たちがいて、ドールハウスで一緒におままごとをしようと誘います。みんなで楽しんでいる時、みなちゃんの赤ちゃん人形が泣き出して・・・。
 ちょっと切ないこのお話で存在感を見せるのが、彼女の猫のぬいぐるみのノンノン。とぼけた表情で腕の中にいて、どのシーンでもみなちゃんの気持ちに共感しているようです。一言も言葉はありませんが、その表情が みなちゃんだいじょうぶだよ と言っているのが伝わって、読み手をも安心させてくれます。


 

ページのTOPに戻る