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“たねの絵本”特集 2017.5
甲斐信枝さんの植物の絵本がテレビで取り上げられ、大人の方の間でも話題になりましたが、児童書の世界では以前から高く評価されていたものです。こういった知識の絵本は、福音館書店の“かがくのとも”をはじめ、小さい人たちの興味と理解に合ったものがたくさん出されています。実は、ピコットでは知識の絵本のコーナーはなかなか人気です。そして、甲斐さんはそんな知識の絵本の第一人者ですが、この分野に力を注ぐ作家さんはほかにもたくさんいらっしゃいます。このジャンルの絵本、子どもの本屋としても力を入れていきたいと思っています。今回は、テーマをたねに絞って。 |
こちらはブログの関連テーマ 絵本「まめ」と出会った頃
まめ |
平山和子 文・絵 |
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まだ知識絵本初心者だった時にこの絵本が発行されたのですが、手にした時には驚きました。いったい豆なんかをテーマに、一冊の絵本が作れるものだろうか?豆のどこが読者を惹きつけるというのだろう? でも、読んでみて2度目の衝撃がありました。あの小さくて丸い豆一粒に秘められた力を、作家は、科学的知識をしっかりと伝えつつ読者の心をつかむストーリーに仕立てて見せくれているのです。この絵本を手にしたことで、まめという小さなものの可能性に加え、知識の絵本の持つ可能性にも目覚めた私でした。30年以上前のことです。 |
たねがとぶ |
甲斐信枝 文・絵 |
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道ばたや空き地で、それぞれの花をせいいっぱい咲かせる雑草たち。しばらくしてまた通りかかると、花は終わって実を付けています。触ると弾ける実やくっつく実。風で飛んでいく実もあります。草たちの願いは、たくさんの実を実らせ、それを様々の方法で遠くや近くに広げ、仲間を増やしていくことなのです。そんな草花たちの暮らしが、甲斐さんの筆にかかると生き生きとドラマチックに浮かび上がってきます。 |
木の本 |
萩原信介 文 |
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葉の形、四季ごとの花、若芽、紅葉、実、立ち姿と樹皮。樹に出会って詳しく知りたいと思ったとき、いくつものアプローチを可能にしてくれる構成の、描かれた木の図鑑です。この中に、芽生えたばかりの幼木が並んでいるページがあります.。まだたねを付けたままの、木の赤ちゃんです。森で拾う木の実が、見上げるばかりに大きな樹木の始まりであることを、改めて思い出させてくれます。まさに、まめから始まる植物の物語の最初のページです。枝が重なり合った常緑樹のページでは、森林浴をしているような気持ちになれます。絵による図鑑の力を感じます。 |