“わたしってだれだろう”の号 2018.3

園や学校・会社で迎える新学期。お正月とはまた違った、ワクワク感と緊張感がありますね。新しい環境に立ったとき、自分って誰だろう・・・とふと考えたりすること、ありませんか?

あなたは誰かと聞かれたら、どこに住んでいる誰々で、こんな仕事をしていますということは言えます。でも、 名前や所属ではなくもっと本質的な答えをしようと思うと、何だかよくわからなくなります。・・・っていうのは、わたしだけでしょうか?

小さい人たちも、自分が誰なのかをシンプルに表したお話は大好きです。ただ、成長とともに<だれ>の部分がどんどん膨らんでいきますから。大人の<だれ>を一冊の絵本で表そうとすると、これはなかなか難しいかもしれません。

 

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  だから こぶたちゃん

 

 

きたやま ようこ 文・絵
偕成社
本体 ¥700.
初版 1987/11
横15.5cm×縦16cm
対象:1歳から

 

 

 

 お父さんもお母さんも、ぶた。だからぼくは、こぶたちゃんなんだよ!と、かわいいぶたの男の子は言います。帽子をかぶっても、マスクをしても、どろんこに汚れていても、はだかんぼになっても、こぶたちゃんであることには変わりない。両親にいっぱい愛されて揺るぎない自分でいられる、こぶたちゃんの幸せ。自分を意識するようになった1歳代から喜んで聞いてくれます。そしてまた、読み手の大人も何故かこのお話を読みながら」満たされるのです。作者は、あかたろうシリーズおれ いぬのじんぺいシリーズのきたやまさんです。

 

 

くまさん

 

まど・みちお   
ましま せつこ 

こぐま社
本体 ¥900.
初版 2017/2/25
横21cm×縦19.5cm
対象:2歳から

 

 

 

 冬眠から覚めて巣穴を出ると、もう野原はすっかり春の景色。だけど、長いねむりのあとのくまは、自分が誰だったか思い出せません。ぼんやりと小川のほとりにやって来たくまさんは、水面に映った顔を見て、ようやく自分を思い出しました。そうだ ぼくはくまだった! 
 親しまれているまどさんの詩 くまさんに、ましまさんの柔らかな絵がぴったり合って素敵です。刻々と変わっていくまさんの表情にご注目。そして、声に出して詩を読む楽しみを是非どうぞ!


 

 

 

ぼくのニセモノを

つくるには


 

ヨシタケ シンスケ 文・絵
ブロンズ新社
本体 ¥1,400.
初版 2014/9/25
横21.2cm×縦26.2cm
対象:小学生〜大人

 

 

 

  お手伝いに宿題に部屋の掃除。やりたくないものだらけのぼく、<けんた>は、ロボットに自分のニセモノになってもらおうと思い付いた。お小遣いでロボットを買いその作戦を伝えると、ロボットは、あなたのことを詳しく教えてくださいと言う。引き受けてくれるらしい。だけど、名前・外見の特長・得意なことと不得意なこと、生まれてから今までのこと、周りの人との関係・・・等、あれやこれや、自分の代わりになってもらうための情報を全部伝えるのは、なかなか大変だ。けれども、そんな話をする中でけんたは、ほかの人からはわからない自分の内面に改めて気が付いたりするのでした。めんどくさくも楽しい自分振り返り作業の全行程が詳細に書かれたこの絵本は、ポップな哲学書とも言える奥行を持っています。で、けんた情報のすべてを入力したロボット、はたしてニセモノ役になりきれるかどうか、そこがまた・・・(^^)。

 

 

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