“かこさとしさんの絵本世界”の号 2018.11

 子ども立ちのためにたくさんの絵本を作ってくださった加古里子さんが、5月に逝去されました。作品は、紙芝居やエッセイも含めると700点に及ぶと言われます。その数にも内容の多様さにも圧倒されますが、絵本作家であり科学者であり、そして子どもの文化の研究者でもあった加古さんの作品から、この特集でもいくつかご紹介してみたいと思います。

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どろぼうがっこう

 

 

加古里子 文・絵
偕成社
本体 ¥1,000.
初版1973.3
横21cm×縦25.5.cm
対象:4歳〜

 

 

 

 加古さんの絵本でまず思い浮かぶのは、だるまちゃんシリーズ(福音館)やからすのパンやさん(偕成社)といった、おはなしの絵本。パンやさんは、かこさとしおはなしのほんシリーズのうちの1冊ですが、わたしのお気に入りは、そのシリーズの中のこれ、どろぼうがっこうです。泥棒予備軍のワルな生徒たちが、どこかおかしくて憎めない面々として描かれています。声に出しのが楽しいリズミカルな文章が、読み聞かせを大いに盛り上げます。

 

 

たこ

かがくのとも傑作集

 

 
加古里子 文・絵
福音館
本体 ¥900.
初版 1975.1(かがくのとも)
横21.5cm×縦24.3cm
対象:親子

 

 

 

 子どもが大好きで、子どもたちと一緒に過ごす時間をこよなく愛された加古さんは、子どもの文化の研究にも熱心でした。そして、遊びや行事に関する絵本もたくさん書かれています。その中から冬の遊びの代表である凧揚げに関する絵本をご紹介します。身近にあるハガキや木の葉でつくるたこ。ポリ袋をつかった、よく風を受けるたこ。作り手の子どもが困らない丁寧な説明に、上手な揚げ方のコツも添えられています。この冬は、凧揚げを家族で楽しみませんか?

 

 

みずとはなんじゃ

 

加古里子文 鈴木まもる
小峰書店
本体 ¥1,500.
初版 2018.11
横23.2c」m×縦25cm
対象:4歳から

 

 

 

 地球、宇宙、川といったテーマの知識の絵本群には、科学者としての加古さんの、正確な知識をわかりやすく伝えようという工夫が随所に感じられます。未来を担う子どもたちに、考える大人になって欲しい!という、願いがあったのでしょう。そして、最後になったこの作品 みずとはなんじゃ は、その集大成と言えると思います。おや?と思われる方もあるでしょうね。この作品では、鈴木まもるさんが絵を担当されているのです。“水の星・地球に生まれた子どもたち、ただその恩恵を受けるだけでなく、地球の自然を大切に守って幸せに暮らして行きなさいよ・・・” という加古さんの声が聞こえてくるようです。 ※初版には限定特典が付いています。

 

 

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