“歳を取る・若返る”の号 2019.1

 

 昔はお誕生日ではなくお正月で歳を数えていました。ほら、「数え年」という言い方を聞いたことがありますよね。子どもたちは大きくなることが喜びですから、1つ大きくなれるという意味でもお正月が楽しみだったはずです。でも、大人はどうなんでしょね。歳を取ることを楽しめる人生であればいいのですが・・・。今月は「数え年」にちなんで、年齢にまつわるお話を集めてみました。

 

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きゅうりさんあぶないよ

 

 

スズキコ−ジ 文・絵
福音館
本体 ¥900.
初版1998.11(とも年少版1996)
横20.3cm×縦20.16.cm
対象:2歳〜

 

 

 

  きゅうりさんは、張り切って歩いていきます。みんなが、そっちへいったらあぶないよ ねずみがでるから と止めますが平気です。鹿に止められてもずんずんずん。くまに止められてもずんずんずん。山猫に止められてもずんずんずん。その上、誰かに会うたびにきゅうりさんの装備は強力になっていくように見えます。出会ったみんなが、それぞれの力を持たせてくれるのです。最後はヤギさんのひげまで付けて、いかにも老獪という雰囲気になっています。経験と知恵と気力で高まったきゅうりさんは、全然ねずみさんなんかの敵じゃありませんでした!っていうお話。

 

 

ほしじいたけ ほしばあたけ


 

 
石川 基子 文・絵
講談社
本体 ¥1,300.
初版2015.9
横21.8cm×縦26.3.cm
対象:5歳〜

 

 

 

 きのこ村のほだぎの里でのんびり暮らす、ほしじいたけとほしばあたけの老夫婦。何より好きなのは、のんびり日向ぼっこをすることで、濡れることは大嫌いです。そんなある日、村の子どもきのこが谷に落ち、これは大変とほしじいたけは救出に向かいました。ところが、きのこの子を背負ったほしじいたけは、子どももろともひっくり返り、カサカサに乾いた自分が子どもより軽いことを思い知らされます。でも、子どもを早く谷の上に運ばねばなりません。いたしかたない・・・。覚悟を決めたじいさまは近くの川に。そして、川の水をたっぷり吸ったほしじいたけは、ぷっくりふくらんで若者のようになり、力強く叫びました。「わしに つかまりんさいっ」 力を振り絞って、子どもきのこを背に崖をよじ登るほしじいたけ。それを知ったほしばあたけも、水に浸かってぴちぴち(?)に若返り、縄を降ろして助太刀します。こうして村のヒーローとなったしいたけ老夫婦ですが、またもとのカサカサに戻って日向ぼっこを楽しんでいます。水に浸って若返るところ、大人の読み手はちょっぴり羨ましく思いますよね。

 

 

わかがえりの水

 

広松由希子 文  スズキコ−ジ
岩崎書店
本体 ¥1,400.
初版 2011.12
横21.6c」m×縦28.6cm
対象:4歳から

 

 

 

 山へ炭焼きに行ったおじいさんは、喉が渇いたので近くの湧水を飲みました。その清水はとてもおいしくて、飲むと元気が湧き、残りの仕事もはかどりました。おじいさんが家に帰ると、おばあさんは大層驚き、どちらさまで?と問いかけます。なんと、あの清水を飲んだせいで、おじいさんはすっかり若返っていたのでした。おじいさんの若々しい姿が羨ましいおばあさんは、清水を飲もうとひとり山へ登って行きました。その水は確かに若返りの水でした。おばあさんは泉に若くなって行く自分を映し、まだまだ、もっともっとと欲張って清水を飲むうち・・・、という有名な昔話はよくご存知でしょう。こちらも絵がスズキコージなのは偶然です。いえ、鈴木さんご自身年齢不詳の方ではありますが。

 

 

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