さむさの季節”の号 2020.1

 

 

 冬は自然界が一休みする季節というイメージですが、冬だけに生きるもの、そんな季節が好きな生物もいるんです。(人間の子ども以外でも・・・です。) さらに、その季節を描くのが好きな絵本作家さんも。厳しい寒さの中に心が澄み渡るような冬のお話を紡ぎ出してくれる作家さんたちに感謝して、わたしたちは温かな部屋で、そんなお話を手にしてみませんか。

 

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雪のかえりみち

 

藤原一枝 文
はたこうしろう
 絵
岩崎書店

本体 ¥1,300.
初版 1967/04  
横21.5cm×縦24.7cm
対象:5歳から


 

 

 

 授業中に雪が降りだしたので、子どもたちは大はしゃぎ。早めの下校となって、お母さんが働いている少年は、1人でいつものバスに乗った。ところが雪に慣れない街の交通は大渋滞。常に体を動かしている元気な男の子も、来ないバスを待ってじっと立っていると、寒さでまるで自分が“アイスキャンディになった”ような気分に。心細くなってきた彼を、それとなく気遣ってくれる見知らぬ人もあり、男の子は何とか家にたどり着くことができました。美しい雪景色、楽しい雪あそび、そして不安な帰り道と、いろいろな経験をした雪の日のことでした。

 

 

ゆきむすめ

 

岸田衿子 
スズキコ−ジ
 絵
ビリケン出版

本体 ¥1,400.
初版  2005/02 
横26.5cm×縦22.7cm
対象:5歳から

 

 

 

 子どものいない老夫婦のところに異形の子がやってくるお話は、どこの国にもあるようですね。ロシア民話であるこのお話では、老夫婦は雪だるまから生まれた雪娘と暮らし始めます。優しくて利口なこの娘は、村の子どもたちとも仲良しになりました。ところが、春になって雪が溶けるころになると娘は次第に元気をなくし・・・。
 いつも大胆な構図と色遣いで読者の度肝を抜く画家・スズキコージですが、この物悲しいお話では、登場人物たちの心の内を描いてしっとりとした作品に仕上げています。

 

 

ゆきのひにあえたら

はっぱのしたの おんなのこ


 

 

ワン・ユーウェイ 文・絵
長山さき
 訳
ほるぷ出版
本体 ¥1,500.
初版 1967/04  
横21.8cm×縦29.6cm
対象:6歳から

 

 

 

 いつもより雪の早い年、猫さんは葉っぱの下に小さな小さな女の子を見つけました。温めると元気になり一緒に暮らし始めた女の子は、猫さんの落ち着いた暮らしをすっかりにぎやかにしました。そんな中、不思議なことが起き始めます。女の子の周りでは植物が大きく育ったり花を咲かせたりするのです。
 哲学者なのか画家なのか、一見おじさん風な猫と、出生のわからない謎の女の子という組み合わせが、少しも不思議でないどころか読み手を十分に納得させる不思議な世界観。若い作家のこれからの作品に注目したいと思います。

 

 

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