“歯が抜けるよ 1年生”の号 2020.4

 

 

 園では一番大きかった5歳児クラスの子どもたちも、小学校に入学すれば一番小さい学年になります。広い学舎や体格のいい上級生に圧倒され、小学校の暮らしに戸惑いながらも、どの子もそれぞれのやり方で新生活に適応していきます。そのたくましい新一年生の表情に共通なのが、”歯抜け顔”です。なぜか1年生の頃に一斉に歯の抜け変わりが始まり、一番目立つ前歯の隙間をにっこり見せて一年生たちは本物の小学生になっていきます。

 

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はがぬけた に〜

 

フィリケえつこ 文・
あすなろ書房

本体 ¥1,000.
初版 2019/11  
横21.4cm×縦20.7cm
対象:6歳から


 

 

 

 少々不自由はしても、歯が抜けるってどうやら誇らしいことらしい。お兄ちゃんの様子を、妹はそう思って見ています。新たに生えてくる大人の歯のために、赤ちゃんの時に使っていた小さな歯は抜けて、その場所を明け渡すのですって。大人の歯のためならと、グラグラする違和感を我慢したり、スキッ歯での食べにくさを工夫するお兄ちゃんたち。
 そうだった、そうだった。この絵本を手にして、何十年か前の子ども時代に味わった抜け替わりの時期のことを、わたしも久しぶりに思い出しました。鬱陶しくもあるこの時期を上手くやってこられたのは、「大人の歯が生える」という楽しみが待っていたからなんでしょうね。

 

 

歯がぬけた

 

中川ひろたか 
大島妙子 

PHP研究所

本体 ¥1,100.
初版 2002/05 
横19.6cm×縦25.6cm
対象:6歳から

 

 

 

 歯がぐらぐらしていた男の子。ご飯を食べている時にそれが抜け、お父さんとお母さんとワイワイガヤガヤ盛り上がります。彼の関心は、抜けた歯をどうするか?ということ。団地住まいだから屋根に投げ上げられないし、日本には歯の妖精も来てくれない。それなら大事に取っておいて、おじいさんになった時、これで入れ歯を作ったらどうかな? 両親は乳歯が生えた頃の思い出話をしたり、一生使う歯だから大事にね!と注意もしますが、小学生男子、そういうことには全く関心を向けません。ただただ愉快に切り抜けようとするあたり、次でご紹介する<まえばちゃん>のななこのような深刻さは皆無。いかにも男子な歯抜けのお話です。

 

 

まえばちゃん


 

 

川島えつこ 
伊東美貴 

童心社
本体 ¥1,000.
初版 2018/11
横15.3cm×縦20cm
対象:6歳から

 

 

 

 ななこの前歯がゆらゆらしてきた。抜け替わるんだ!その夜のこと、前歯ちゃんが、ななこに話し掛けてきたのです。“わたしは、赤ちゃんのななこちゃんに、初めて生えてた歯なのよ、それからずっと、ななこちゃんと一緒。ななこちゃんのことなら何でも知ってているの。” 前歯ちゃんと秘密のおしゃべりをするようになり、いろいろアドバイスされ、ななこが自信を持って生活できるようになった頃、とうとう、前歯ちゃんは抜けてしまいました。寂しくて泣いてしまうななこですが、何と次には・・・!

 

 

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