“世の中のしくみ”の号 2020.9

 

 

 絵本を一括りにファンタジーと捉える方がいたら、それは違いますよ。わかり易くて美しい知識の本もあれば、楽しいお話の中に現実を捉えてみせるノンフィクション系もありますから。今月ご紹介するのは、世の中の仕組みについて知ることのできる絵本です。小さい人たちに、考えたり判断したりできる賢い大人になって欲しい!という願いを込めて。

 

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ちいさなしまの だいもんだい

 

スムリティホールロバート文 スターリング
なかがわちひろ

光村教育図書
本体 ¥1,400.
初版 2020/2
横25.9cm×縦26.5cm

対象:4歳から


 

 

 

 どうぶつ村では、少々の揉め事はあるものの、みんな<おおむね>満足して暮らしていました。ガチョウとアヒルたちは、村のはずれにある島が住まいでした。ある時ガチョウたちが文句を言い始めました。ほかの動物たちがやってきて、島の干し草や果物を取っていく。態度がでかすぎる。あいつらとは縁を切ろう!と。一緒に住んでいるアヒルたちは、数が少ないので反対できません。島と向こう岸を渡す橋は取り壊されて、とうとう行き来はできなくなりました。ガチョウたちはそれで満足でしたが、しばらくすると問題が起こり始めました。伸びた草を刈取ってくれる仲間がいません。高い木の果物を取ってくれる仲間もいません。それでも意地を張って暮らしていたガチョウたちでしたが、ある年、島がキツネたちに狙われたのです。鳥しかいない島は、キツネたちにとっては願ってもないご馳走の島でした。

 

 

もりにいちばができる

 

五味太郎 文・絵
玉川大学出版部
本体 ¥1,000.
初版 
2008/04
横19cm×縦25cm
対象:6歳から

 

 

 

 きつねのぶどうの木には、素晴らしく美味しい実が生った。通りがかったタヌキが羨ましがったので、ひと房あげた(もったいなかったけれど)。すると次の日、たぬきがお礼にりんごを持ってきた。きつねは考えた。ほかの動物たちも美味しいぶどうを食べたがるに違いない。そこできつねは、森のみんなにぶどうを分けてあげた。するとみんなもそれぞれに、美味しいお返しを持ってきてくれた。ぶどうを上げてすてきなものをもらうのはいい考えだ!と気がついたきつねは、森でぶどう屋を始めた。それを見てほかの動物もそれぞれ自分の持っている美味しいものを売り始めたよ。これが市場の始まり。物々交換して、みんな幸せだったんだ。

 

 

おんぶはこりごり


アンソニー・ブラウン 
文・絵
藤本朝巳 

平凡社

本体 ¥1,500.
初版 2005/03
横21.7cm×縦25.6cm
対象:4
歳から

 

 

 

 ピゴットさん一家は、(ピコットさんじゃないよ) 素敵なお家で快適に暮らしていた。パパも息子たちも、ママに美味しいご飯を作ってもらって、散らかった部屋は綺麗にしてもらって。でも、ご飯はまだ?と急かされ、洗濯や部屋の掃除に明け暮れるママのほうは幸せだったでしょうか? ある日、みんなが帰ってくるとママの姿は無く、「ぶたさんたちの おせわは もう こりごり」 という手紙が残されていました。パパと子どもたちはママ無しで何とか家事を回そうとしましたが、どんなに頑張っても、素敵だった家は荒れてゆくばかりです。ママは帰って来てくれるでしょうか?やってもらうのが当たり前じゃないよと、ユーモアたっぷりに伝えてくるアンソニー独特の表現をお楽しみください。

 

 

 

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