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“おもしろ読物大特集” 2002.7
たっぷりある時間、午後の暑い日差しを避けて、涼しい室内で好きなだけ本の世界を楽しむ・・・。そんな贅沢を、子どもの頃は特別な事とは思っていませんでした。大人になったからこそ楽しめる事もたくさんありますが、ゆったりとした時間の流れていたあの本との日々は、もうわたしにはありません。本好きさんにも、ちょっと苦手さんにも、この夏休み、時間を忘れるような1冊に出会ってほしいと思います。"苦手さん"にも気楽に手にして頂けるものを選んでみました。 |
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みどりいろのたね |
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たかどの ほうこ作 太田大八絵
クラスで種まきをする日、まあちゃんはちょうどほっぺで小さくなっていたメロン飴を、エンドウマメといっしょに埋めました。土の中で、メロン飴とエンドウマメは反目し合います。「つまんないやつ!」「つまるやつか つまらんやつか いちど ぼくを なめてみるがいい!」メロン飴は種たちに大好評。さて、まあちゃんのエンドウにもやがて豆がなり、ところがところがそのサヤの中には・・・? |
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まめだまめまめだみつまめだ |
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山下明生作 はたこうしろう絵 理論社¥1,000. 横15.5cm ×縦20.5cm 対象:小学校初級
子ども会のハイキングに無理やり行かされたぼく。みんなとは混ざらず、山に向かって"早口ことば"をどなっていたら、タヌキがやって来た。そいつの まめだまめまめだみつまめだ なんていう長い名前は、電車を見に行って帰ってこない、兄さん二人の名前も貰ったから。さし絵とことば遊びがたっぷりの楽しいお話ですが、タヌキの身の上はちょっとほろ苦い・・・。(山下明生の空とぶ学校
こくご ) |
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バレエをおどりたかった馬 |
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ストルテンベルグ作 菱木晃子訳
旅のバレエ団の踊りを見て、あんなふうに踊りたい!と憧れた馬は、バレエ学校へ入学するため街にやって来ました。馬は苦労もたくさんしますが、街の人たちの温かな気持ちにもふれます。そして、努力の甲斐あって最優秀で卒業の日を迎える事が出来たのです。馬の骨格でバレエが踊れるはずがない・・・(笑)等という雑念は、すっかり忘れさせてくれる、お話しの上手さです。 |
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そーくん |
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ねじめ正一作 南伸坊絵 佼成出版¥1,400. 横15.5cm×縦21cm 対象:小学校中級
そーくんは、草野球チームのお父さんの影響を受け、野球大好き少年です。お父さんの練習に従いて行くので、メンバーのおじさんたちからも可愛がられ、おとうさんが出られないときには“そーくんだけでも寄越せ!”と言われたりします。練習場で出会ったなつきの事を男の子と勘違いしたり、ガンで亡くなっていく、なつきのお父さんとチームのメンバーの友情を目の当たりにしたり、思春期への入り口の、そーくんの日々。 |
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ルーム・ルーム |
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ロドースキー作 金原瑞人訳
リビィは弁護士さんに連れられ、ボルチモアにやって来た。死んだママがリビィの世話人として指定していたのが、この町に住むジェシーだったから。ジェシーは独身で子どもの扱いに慣れず、リビィの方も初対面の人に引き取られる事にとまどうが、猫のマックスを間に、ふたりの生活は廻り始める。そうした日々にようやく慣れて来た頃、ジェシーのアンティークのお店が火事に! |
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壁のなかの時計 |
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ベレアーズ 作 三辺律子訳 アーティストハウス¥1,600. 横15.5cm×縦21.5cm 対象:小学校上級
こちらも孤児になった、男の子ルイスの新しい生活。彼の場合、引き取ってくれたおじのジョナサンと、隣りの家に住むその親友ツィマーマン夫人が魔法使い!温かなふたりに挟まれ、ルイスの平穏な暮らしが始まったかに思えたが、魔法界では怪しげな事態が進行していた・・・。少し太めで運動音痴の普通の男の子・ルイスが、魔法使いたちのむこうを張って活躍します。 |