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“おばけの本"特集 〜中級編〜 2002.8
気持ちと身体の発達のバランスが取れて、自信にあふれている状態の時、子どもたちは怖いお話を求めます。特におばけの本の人気はダントツで、「おばけのほんが いい!」というリクエストにお応えするため、ピコットでは、昔話の絵本の棚の一郭が、おばけの本の指定席になっています。さて今回は怖さも中級!読み手も聞き手も笑顔がひきつったりして・・・。 |
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よるのようちえん |
谷川俊太郎作 中辻悦子絵・写真 福音館¥1,300. 横21cm ×縦29.5cm 対照:幼児から |
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子どもたちがみんな家に帰って、しーんと静かな夜の幼稚園。がらんとした玄関ホールに、おや?そっとさんがやってきました。テラスには、すっとさん!それから、じっとさんやぜっとさん、ぱっとさんも・・・。仲間がいっぱいやってきて、夜の幼稚園でみんなで遊んでいます。ころがったり、飛び跳ねたり走ったり。声に出して読むと不思議なリズムが生れる谷川さんの文に、写真に色鉛筆という手法の中辻さんの絵がぴっったり。説明無用の絵本です。けど、この人たちって、だれ?"そらがあかるくなってきました あれれ みんなどこかへきえちゃった" |
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がたごとがたごと |
内田麟太郎作 西村繁男絵 童心社¥1,300. 横26cm ×19縦cm 対照:幼児から |
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駅です。大勢のお客が載り込みます。たくさんお土産を持った人、子ども連れの人、旅行帰りや結婚式の帰りに見える服装の人たち。ぞろぞろ、ぞろぞろ・・・。がたごとと電車は走り始め、どんどん山の奥へ。着いた「おくやま駅」で降りてきたのは、・・・おやおや何だかおかしい。降りてきたのはお土産を持ったいのしし!子どもを連れたサルのおかあさん!結婚式帰りのキツネの夫婦に旅行帰りのブタとネコとヒツジ!電車はどんどん走り続け、次に止まる駅は四辻駅。それからチャンバラ駅。おや、とうとう海の中へと入って行きます。怖さに気が付かなければおもしろい絵本。化けの皮をすっぽり脱いで、くつろいだ表情の動物たちには、思わず笑ってしまいます。でも、ある日偶然、どこに連れて行かれるかわからない電車に乗り会わせたとしたら、そして、動物村や妖怪村に降ろされてしまったとしたら、そう考えるとやっぱりこの絵本、怖いですよね!
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ティーニータイニイイギリスのこわ〜い昔話 |
ベネット再話 |
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昔々のお話しです。ちいちゃな村のちいちゃな家に、ちいちゃなおばちゃんが住んでいた。ある日ちいちゃなおばちゃん、散歩に出かけ、ちいちゃな教会のちいちゃな門へ。そして、ちいちゃな教会のちいちゃな墓地で、ちいちゃな骨を見付けたよ。「ちいちゃい骨から スープを ちょっぴり ばんのごはんに つくりましょ」 おやおや、ちいちゃいおばちゃん、ちいちゃな骨をポケットへ。ところところがおお怖い、きこえてくるぞ、ちいちゃい声が。"ギブ ミー マイ ボーン!おいらの 骨を かえしておくれ!"繰り返されるその声はだんだん大きくなって・・・。小さな声で読めば読むほど怖くなる、イギリスの昔話。とてもちいさい、という意味の"ティーニイタイニイ"という言葉がちりばめられたリズミカルな訳には、読み手も楽しませてもらえます。待望の再版。 |
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おばけのひっこし |
さがら あつこ作 沼野正子絵 福音館¥1,100. 横21cm×縦26cm 対照:幼児から |
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京の都に住む、子沢山の一家のお話し。家が手狭になったので新しい住いを捜しに行ったお父さんは、古いけど大きくて立派な家を見つけました。近所の人が「ここはおばけ屋敷だから、おやめなされ。」と教えてくれますが、「なに、わしは おばけなど こわくないぞ」と一晩泊ってみることにしました。なるほど、真夜中になると、出るは出るは・・・。そんなおばけなど少しもこわくない(あるいは、家族愛に燃えて?)おとうさんは、出てきたおばけたちを反対に怖がらせたり困らせたり。とうとう、おばけのおきなが、「わたくしたち おばけの いっかは、ここを おいだされると ほかに すむ いえが ありません。」と事情を話しに現れて、そういうことならと、子沢山一家とおばけ一家は互いの家を取り替えることになったのです。 |