|
2003.4
"ともだちって・・・?"の号
明るい日差しに萌え出す植物たち。学校も会社も新スタートで、心もキリリと改まる4月です。この季節には出会いもありますが、親しかった人との別れも多いものです。小さい人たちにとっては、初めての出会やも別れもあることでしょう。「ともだち」って、何だろう?どんな友だちになったらいいのかしら?4月は、そんなことを改めて考える季節でもあります。 |
|
ともだちや |
内田麟太郎作 降矢なな絵 偕成社 ¥1,000.(本体) 横20.5cm ×縦25cm 対象:幼児から |
|
きつねはちょっといいい商売を思い付きました。「えー、ともだちやです。ともだちはいりませんか。さびしいひとはいませんか。ともだち いちじかん ひゃくえん。ともだち にじかんにひゃくえん」 ともだちやと書いたノボリを担いだきつねは、少々の無理は我慢して、森の動物たちの相手をして歩きます。そんなきつねを呼び止めたのは、強面のおおかみ君。「トランプのあいてをしろ!」 勝ったり負けたりの互角の勝負を終えた時、きつねがお代を請求すると、おおかみは怒った!「お、おまえは ともだちから かねを とるのか。それが ほんとうの ともだちか」 きつねはびっくりして聞き返します。「それじゃあ あしたも きていいの?」 こうして始まった二人の友情は、続編で「ともだち くるかな」「あしたもともだち」「ごめんね ともだち」「ともだち ひきとりや」と続きます。ちょっと重たいテーマかな?と思っても子どもたちに歓迎されるのは、経験と共感があるせいでしょう。 続編“ごめんねともだち”はこちら |
ともだち | |
片山令子作 片山 健絵 ビリケン¥1,300.(本体) 横14cm ×18.5縦cm 対象:幼児から |
|
へそまがりのふくろうさんと、いつも楽しげなのうさぎさんが、小川に出掛けました。ふたりは遊んでいるうちチョッキをなくし、花を摘んでいて蜂に刺されました。気持ちのいいくさはらに寝転がると、ふくろうさんは文句をいいました。「あーあ、おがわなんかに こなけりゃよかった。チョッキ なくして はちに さされて、おなかすいて さむくなった」けれども、「そんなふうに なんでも わるくがえるのは よくないよ」とのうさぎさん。のうさぎさんの感想はこうでした。「ふくろうくんと いっしょにいたから わたしは おがわにこられたし お花も くさはらも みつけられたんだよ」 それをきいたふくろうさんは、一枚きりだったというのうさぎさんのチョッキを捜します。特別なできごとは起こりませんが、少しずつ友だちに心を寄せていくふくろうのきもちの変化が、とても自然に感じられて嬉しい一冊です。 |
うごいちゃ だめ! | |
シルヴァマン作 シンドラー絵 | |
ちょっと己惚れやのあひるの所へ、これまた自信家のがちょうがやって来ました。さっそく二人は自慢比べです。どちらが泳ぎが上手、誰が高く飛べる、と。勝負がつかないので、「うごいた
ら まけ」競争をすることになりました。蜂が飛んできても、うさぎの群れにまとわりつかれても、からすたちにからかわれても、ふたりは動きません。強い風が吹いてきて吹き飛ばされましたが、それでもどちらも、じっとしたまま。そこへきつねがやってきて、「こりゃ、ついてるぞ!」と二人を拾ったのですが、それでもやっぱり、動こうとはしません。何としてでも、競争に勝ちたいのですね。お鍋がぐつぐついうきつねのいえの台所で「どちらにしようかな」と指を差され、おなべの上に持ち上げられたのにがちょうは、それでもまだ、動こうとも逃げようともしないのです!ところがそれを見ていたあひるは、そこでとうとう、きつねの鼻先に噛み付きました。「ぐわあ〜っ!あたしの
ともだちを りょうりしちゃ だめ!」 |