“おもしろ読物大特集 ”04 2004.8

 感想文の宿題が出た時、低学年の子どもたちは、お母さんの応援なしには仕上げる事ができないと思います。まだまだ文字を読むのに精一杯で、内容まで頭に入ってこない。「読んであげよう!」と助けてもらっても、「何がどう面白かったか」自分の気持ちを分析できない。感動を書き表そうにも表現力が追いつかない・・・といった具合でしょう。そんなときには、ピコットの秘策(?)のご利用をお勧めしますが、実は、本屋もこの季節ならではの問題に直面します。低学年にぴったりの内容なので、ご相談のお客様にご紹介したいと思っても、漢字にルビのない作品が案外多いのです。読み聞かせ用の童話としては問題ないので、普段だったら気にしませんが、この季節は、このお話だったらいっぱい感想が溢れてくるのになぁ・・・と、ルビなしを残念に思う本も多いのです。本屋も感想文に取り組む夏休みです!
 
…感想文を書く方は、‘98年の“感想文”お助け特集 を ご参考に…。

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はじめてのキャンプ

林明子作・絵
福音館 ¥1,260.
横15.5cm ×縦 21.5cm
対象:小学校初級
           
       

 

 

 お隣のともこおばさんちに集まる大きい子たちは、みんなでキャンプに行きます。それを聞いたなほちゃんは、「わたしも いく」と粘って、一緒に連れて行ってもらうことになりました。重い荷物も持てるし、泣かないし、薪も集められるし、暗い外にひとりでおしっこに行ける!とみんなに約束したのです。「やっぱり、ちっちゃい子は・・・」と言われないよう頑張るなほちゃんに、ドキドキだけど素晴らしい夜がやって来ます。




もりのぎんこう

ふなさきやすこ ならさかともこ
偕成社¥735.
横18cm ×縦21.5cm 
対象:小学校初級

 

 

 

 森のはずれに三角屋根のお店が出来て、「あなたも あずけてみませんか」という看板が掛かりました。もぐらさんが小さな種を預けると、お店の主人のいのししさんが言いました。「もりに はるの さいしょの おひさまが さすころ、おみせに きてね」 そして春、もぐらさんは、種の替わりにきれいな花を付けた植木鉢を受け取りました。いのししさんのお店は森の評判になり、みんながいろんなものを預けに行くようになりました。ところがある時、預かった種が芽を出さず、いのししさんは心配のあまり病気になってしまいます。


 



なん者ひなた丸 
 ねことんの術の巻

斉藤 洋  大沢幸子
あかね¥945.
横15cm×縦21.5cm
対象:小学校中級

 

 

 ひなた丸は、忍者の修行中の「なん者」。おじいちゃんは忍術を極めた「ぬん者」です。忍者である両親が仕事で出かけて、忍者村はひなた丸とおじいちゃんの二人だけという時に、お城のお殿様から使いがやってきました。隣の国ではものすごい忍者を雇ったらしいので、偵察に行ってこいということです。しかし、ひなた丸に出来るのはねことんの術だけ。ねことんの術ってどんな術?それで隣の国の忍者に対決できるのかな?






おそなえはチョコレート

小森香折 広瀬弦
BL ¥1,365.
横12.5cm×縦18.5cm
対象:小学校中級

 

 ふみかがゴミすて場でひろったへびのぬいぐるみ、スマスマ。ふみかにだけ聞こえる声でおしゃべりし、チョコレートと引き換えに、ふみかの日常生活のちょっとした悩みに効く呪文を教えてくれたりして、ふたりはすっかり仲良くなります。ある日、ふたりはよく行く図書館で、恐ろしい企てが進められているのに気付きます。小さい女の子1人とぬいぐるみ1匹ではとても立ち向かえそうにない相手・・・。そんな時ふみかたちは、図書館員のきしちゃんや、ゆうという男の子と知り合います。






チビ竜と魔法の木の実

富安陽子 大庭賢哉
偕成社¥1,260.
横13.5cm×縦19.5cm
対象:小学校上級

 


 もしも、あなたのお母さんがキツネだったらどうでしょう?信田家のママは、実はキツネでした。人間のパパとキツネのママが愛し合って、ママは人間の世界に越してきたのです。でも、ママには全然問題はありません。人間のお母さんの姿をしているのは得意だし、三人の子どもを大切に育てるしっかり者のママですから。問題は、ママのキツネの家族たちです。厄介ごとを引っさげては次つぎに信田家に現れて、人間家族を悩ますのでした。






竜の王女シマー

イエップ作 三辺律子訳
早川 ¥1,575.
横13.5cm×縦19.5cm
対象:小学校上級

 

 宿屋に居候する孤児ソーンは、旅の老女と出会う。老女は実は竜の一族の王女シマーの仮の姿で、宝玉を巡る争いから故郷を追放されていたのです。孤独なふたりは反発しあいながらも、奪われた宝を取り返してシマーの故郷の海を元通りにするために、一緒に旅をします。中国系アメリカ人である著者になるこの作品は、東洋のかおり漂う異世界に、個性的な登場人物が生き生きと描かれて引きつけられます。三部作ということなので、続編の翻訳が楽しみです。