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“お人形と女の子”特集 2007.10
お人形をテーマに取り上げるのは、これで三回目です。どの作品にも、お人形とその相棒である子どもの間に印象深いストーリーがあって、読み終わってさっさと閉じてしまうことの出来ない何かを感じます。そのくせ、やっかいなことに、その印象を伝える言葉が、わたしにはなかなか見つかりません。お人形と語り合うことの出来る作家たちの作品、貧しい表現力でのご案内よりも、手に取っていただくのが一番ですね。
その他のお人形の絵本・・・→ "お人形のきもちは・・・"の号 その2 |
わたしのバーニー
いつもいっしょ |
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バーニーは茶色のくまのお人形。私がお買い物に行くときも、遊びに行くときも、もちろん眠る時だって、いつもいつもバーニーはわたしと一緒。でも、来年か差来年には、わたしは学校に行くの。くまは学校にいかないのよ、とお母さんがいうの。だから、わたしのバーニーはおるすばん。 なかよしのくまのお人形と、たっぷりの時間を過ごしたた女の子が、その時間を支えにして、ひとりで学校に行くことを受け入れるのが、けなげです。こうやって、みんな一歩ずつおとなになって行くのですね。心の中にそれぞれの「なかよしを住まわせながら。くまのお人形となかよしの子み〜んなに、ぜひ読んでほしいお話です。 |
消えてしまったお人形
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リチャードソン文 ドッド絵 |
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ハリエットがお人形のロッティをなくした時、慰めてくれたのは、お父さんのお客様のカフカさんでした。彼は、「家出をしたお人形は、きっとお母さんに手紙を書くものだ」と言うのです。探し疲れてロッティのことをあきらめ始めたころ、ハリエットのところにその「手紙」は届きました。なんとロッティは、べスという女の子と旅をしていたのでした。喜んだり焼きもちを妬いたり、心配したりと心穏やかでないハリエットですが・・・。思いがけない結末を迎えるお話も、50年代かと思える時代背景も、ちょっと大人な絵本です。そして、カフカさんはどうやらあの「カフカ」さんらしいですよ。 |
なおみ
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「わたし」の生まれる前からいた、日本人形の「なおみ」。女の子となおみは、一緒に時を過ごします。二人にしか聞こえないものを聞き、二人にだけ見えるものを見て。それから、仲よくしたりけんかしたりしながら。そしてある時が来て、なおみは死んで女の子のもとを去ります。それは、なおみの強い意志のようにも思える、少女に娘が生まれるまでの別れの時間です。 これは1982年に「こどものとも」として出された写真絵本の復刊です。お人形の不思議な表情と詩人の言葉が、“たしかに自分にもこれに似た時があった”と思い起こさせる、不思議な世界を作っています。怖いような心地よいような・・・。 |