“子どもの気持ち特集”その3 2016.4

 そんなことで泣けたんだ。そういうことが大問題だったんだ。そうそう、あの時は辛かったよな・・・と、大人になった今も思い出す子ども時代の切ない記憶、誰しも1つや2つはありますね。子どもゆえのそんな気持ちをすくい取った、3冊の絵本です。小さい人たちと一緒に読むもよし、昔の自分に読み聞かすもよし・・・。   <子どもの気持ち特集 その2> 。

 

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  だーれもいない だーれもいない


 

片山健 文・
復刊ドットコム
本体 ¥1,600.
初版 2015.9
※ 福音館版 1990/1
横21cm×縦22cm
対象:2歳から

 

 

 

 コッコさんがお昼寝から覚めると、だーれもいませんでした。お母さんも、お兄ちゃんも、犬のクッキーさえも。風が吹いて、雲が流れて、山鳩が来ただけ。 昼下がりの白っぽい光の中で一人立ちつくすコッコさん。すると、クッキーの鳴き声が聞こえてきました。慌てた様子で駆け戻るお兄ちゃんと、お母さん。お母さんに抱かれたコッコさんは、ようやく、堰が切れたみたいに泣きました・・・。
 福音館版が品切れになった後、復刊ドットコムから出されました。目が冷めた瞬間のあの心細さ、大人になった今は無くなっちゃいました。(^^)

 

 

ようちえん いやや

 


長谷川 義史
文・
童心社
本体 \1,300.
初版 2016.01
横16.5cm×縦19.5cm
対象:4歳から

 

 

 

 朝。あっちでもこっちでも「ようちえん いやや〜」という泣き声が。4月ですね〜。泣き虫さんたちは、ようちえんに行きたくない言い訳をいろいろ並べていますが、本心はお母さんと一緒にいたいからなんです。その気持ち、分かります!
 ・・・と、ここまでが、2012年の新刊案内に書いたご紹介です。保育園・幼稚園では大好評の絵本ですが、お母さん方には、なかなか買って頂けません。このお話を読んだら「ようちえん いやや」と泣かれそうな気がするのでしょうね。ところが、勇気ある(?)お客様が、ちょうど入園するお孫さんのために買ってくださいました。そのお孫さんは入園当初、泣きながらこの絵本を持って幼稚園に通ったそうです。すると泣いている彼のために、先生方が彼持参の“ようちえんいやや”を繰り返し読んでくださったんですって。勿論彼はその後、幼稚園大好きっ子になりましたよ。泣いちゃいけないと言われるよりも、泣ける気持ちに寄り添ってこの本を読んでもらうことのほうが、園生活に馴染む近道だったようです。

 

 

金のおさら

 


バ−ナデット・ワッツ 
文・
福本友美子  

BL出版

本体 \1,300.
初版 2015.10
横22cm×縦27cm
対象:5歳から

 

 

 

 なかよしのエリーの家で遊んでいたイザベルは、ドールハウスに新しい金のお皿が飾られているのに気付きました。エリーの素敵なドールハウスのなかで、それは特別綺麗に見えました。そして、イザベルは、どうしてだかわからないうちに、お皿をポケットの中に入れてしまったのです。子どもたちにとって重いテーマが取り上げられた作品ですが、お母さんやエリーの励ましで、イザベラはこの問題を乗り越え、お話は幸せな結末を迎えます。言葉にできないイザベルの気持ちが、部屋に散らばったお人形たちや、猫や、お庭のひまわりの表情に描かれて、それが小さな読者を助けてくれています。


 

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