|
“命について考える絵本”の号 2019.6
|
おおかみのこが はしってきて |
寮美智子 文 小林敏也 絵 |
|
|
|
|
オオカミの子が氷の上で転んだんだ。どうしてころんだの?氷が偉かったからだよ。でもその氷が溶かされるのは、太陽のほうが偉いからね。そんなふうにアイヌの父と子の会話は続きます。そして、山の木を切り倒す、木よりちょっとだけ偉い人間のことになった時、息子は、「でも、にんげんは しんじゃうね・・・」と尋ねます。その息子に、父はこう答えるのです。そうだね、死んで土に帰るね。それはね、土が一番偉いからだよ。(略)だから、土からいろんな命が生まれる。草や木が生まれ、木の実が実り動物を養う。(略)わたしたちみんな、土から生えてきたんだよ。みんな、土から生えた兄弟なんだ。 |
100万回生きたねこ |
佐野洋子 文・絵 |
|
|
|
|
立派なトラ猫がいました。彼は100万回死んで100万回も生き返りました。王様の猫だったことも、船乗りの猫だったこともサーカスの猫だったこともあったのですが、トラ猫はそんな自分に満足できなかったからです。ある時トラ猫はだれのものでもないノラ猫として生き返り、美しい白い猫と夫婦になりました。子どもたちも育ち、白い猫がおばあさんになって死んだ時、トラ猫は泣きました。泣いて泣いて、そして死んで、もう生き返ることはありませんでした。 |
きみがしらない ひみつの三人 |
ヘルメ・ハイネ 文・絵 |
|
|
|
|
君が生まれた時に、その3人は君の所にやってきたんだ。気付いていないかもしれないけど、三人はそれからずっと、君の心と頭と体の面倒を見ているんだよ。3人は普段とても仲良しなんだけど、時には喧嘩をすることもあってね、そんな時には君は具合が悪くなってお医者さんに診てもらわなくちゃいけなくなる。それでまた3人組が君の面倒を上手く見られるようになると、君の調子はすっかり良くなる・・・って訳さ。こうして、ひみつの3人は君が生涯を終えるまで、ずっと君と一緒にいるんだよ。それから、実はその後も3人にはまだ少しだけ仕事が残っているんだけどね。 |