小人のおはなし”の号 2019・11

 

 クリスマスシーズンを間近に控え浮き足立つ子どもたち&担当サンタ&本屋、(^^)/。でもそのお楽しみの行事を前に、ここでちょっと不思議世界をお浚いしておきましょう。子どもたちが最初に出会うファンタジー(空想物語)の住人といえば、季節限定のサンタクロース以外では、魔女と小人が代表格ではないでしょうか。魔女は少し前、ハロウィーンで大活躍でした。でも、小人の方はそんなふうに大々的に姿を現しません。彼らはひっそりと暮らすことが多く、見える人には見えるけれど、大抵の人には気付かれないという存在です。そこで、今月はあえて、小人の絵本です。

 

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もりのこびとたち

 

エルサ・ベスコフ文・絵 大塚勇三  
福音館

本体 ¥1,300.
初版 1992/05 
横24cm×縦32cm
対象:5歳から

 

 

 

 お話の中で様々な姿に描かれる小人ですが、わたしにとっての小人の原型は、やはりこのベスコフです。可愛らしいけれど勇敢で、様々な妖精や動物たちと一緒に、森の奥の豊かな自然の中で野性的に暮らしています。子どもたちには、アニメ化されすぎたり奇っ怪に描かれた小人ではなく、まずはベスコブの描くこの小人たちに出会って、そのイメージを作り上げて欲しいと思っています。

 

 

おふとんのくにの こびとたち

 

越智典子 出久根育
偕成社
本体 ¥1,600.
初版 2005/11
横22.7cm×縦27cm
対象:4歳〜

 

 

 

 お熱で一日寝ていなくちゃいけないひさこちゃんは、退屈しのぎに掛け布団を持ち上げて山を作ってみました、すると・・・その山の上に雪がふり、なぜかそこに小人たちの村が出現します。よくわからない言葉を交わしながら楽しげにパーティをする小人たち。やがて小人たちは熱っぽい体のひさこちゃんに気が付き、掛け布団の上に何やらすごい仕掛けを作り始めました。仕掛けは彼女の上に雪を降らせるのためのものでした。降りかかるその雪の気持ちの良いこと。いつの間にか眠ってしまったひさこちゃんが目を覚ますと、お熱は下がっていて、小人さんたちはもういませんでした。あれは本当のことだったのでしょうか?それとも熱が見せた夢だったのでしょうか?日本の絵本作家たちが創り上げた、現代に生きていそうな小人の世界です。

 

 

いっすんぼうし

 

 

長谷川摂子 荒井良二
岩波書店
本体 ¥760

初版 2008/10
横18.7cm×縦14.5.cm
対象:4歳〜

 

 

 

 子どものいない老夫婦に望まれて生まれてきた小さな男の子、一寸法師。小さいけれど勇敢な彼は都に上り、乱暴者の鬼を成敗してお姫様に見初められるのです。そして、鬼の残していった打出の小槌で体が伸びて、彼は立派な若物になりました・・・という、有名な日本の昔話。よく似たお話がグリム童話ほか世界各地にあります。一寸法師も親指トムも「小人族」に属しているわけではなく、最後には普通の人の背丈になりますけれど、主人公は小人として活躍するので、やっぱりこれは小人話ですね。いっすんぼうしは各社から絵本が出ていますので、ぜひ読み比べてみてください。

“新しく描かれた昔話絵本”にも掲載しています。

 

 

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