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“おもしろ読物大特集 ”05 2005.7
ピコット便りvol145で読書感想文の書き方に触れたところ、珍しく反響が相次ぎました。珍しく・・・と言うのはちょっと寂しい話ですが、普段から「楽しみにしていますよ」「新しいのはまだ?」等と言って頂くのですから、ピコット便りが読まれていないということではありません。(力説!) なのですが、今回のように内容を話題にして頂くと、確かに書き手の励みになります。感想文を書く子どもたちも同じでしょうね。上手下手の評価でなく、「あなたの書いたここのところがすごーくよくわかるよ!私もそうなんだ。」と言ってもらえたら、きっと、感想文書くっていいもんだ、と思ってくれることでしょう。 ‘98年の“感想文”お助け特集 もご参考に…。 |
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かいぞくのおたから
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三田村信行作 夏目尚吾絵
きつねは鍵屋という仕事柄、ちょくちょく事件に巻き込まれます。その夜も電話に呼び出されて行くと、怪しげなオオカミがピストルを突き付けて来ました。車でどこかへ連れて行かれる途中、今度はその車が人相の悪いトラたちの車に付け狙われ、撃ち合いの果てに、車は川原へ転落・・・。と、思いっきり刺激的な展開ですから、こんなお話で感想文が書けるの?というお母さんの声が聞こえて来そう。でも大丈夫です。きつねの鍵屋の勇気と正義感、スリルいっぱいのお話の思いがけない展開等など、冒険大好きっ子の心を掴む要素がいっぱい。「面白い!」と思わせたら、感想文も半分は出来たようなものです。ピコットでは、「かいけつゾロリ」しか読まないという子たちを、「かぎや」シリーズで随分改心させました! |
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こぎつねキッペの
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今村葦子作 降矢なな絵 ポプラ ¥945.(税込) 横15.5cm ×縦20.5cm 対象:小学校初級
こちらの主人公は、同じきつねでも極めてのどかな森暮らし。こぎつねのキッペは、空を飛ぼうと思い立ちます。森のなかまたちは、そんなキッペに呆れ顔。力持ちのこぐまが地面すれすれに引き寄せた柳の若木をベンチ替わりに、みんなで、キッペのうわさ話です。そこへキッペがやって来たので、「さあ、これでみんなそろった」と川遊びに出発。ところが、たどり着いたキッペが座った柳のベンチから、他のみんなが一斉に立ち上がったから大変。はね上がる柳に飛ばされて、キッペは空へ!・・・無茶をして仲間をハラハラさせたキッペの一日も、赤い夕焼けと共に、どうやら無事に終わるようですよ。「さよなら、さんかく、また、きつね」 |
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ゆうれいレンタル株式会社 |
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山田陽美作 こぐれけんじろう絵
体の弱い弟に、両親は掛かりきり。兄の優真は、そのお陰できょうもサイテーな1日だったと思っている。ふてくされて部屋に閉じこもった夜、ちっとも怖くないゆうれいのジュンが現れ、優真は、ジュンを元手にひと稼ぎしようと、「ゆうれいレンタル株式会社」を思いつく。そんな調子のいい優真だったが、ジュンが体の弱かった自分を「かわいそう」と言う事には反発する。いつも後回しにされている自分の立場が不満でならないのだ。そんな時、弟の勇の病状が悪化・・・。 |
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ひげねずみくんへ |
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ナグダ作 畠リサ訳 福音館 ¥1,155.(税込) 横15.5cm×縦20.5cm 対象:小学校中級
四年生のジェニーの教室では、2年生に手紙を書く事になりました。それも「ねずみになった つもり」で。どんな事を書いたら、ジェニーのペンパルは喜んでくれるのかしら?やがて、2年生たちから、たどたどしいお返事が届くようになりました。けれども、ジェニーには来ません。ジェニーのペンパルのサミーラは、サウジアラビアからやって来たばかりで、英語が話せなかったのです。がっかりするジェニーですが、それでもサミーラを理解しよう、自分に心を開いてもらおうと、工夫を重ねます。ジェニーの努力は実を結ばないかと諦めかけたところで、まるで雲間から太陽が現れるような最後。感動的です。新刊。 |
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イオマンテ
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寮 美千子作 小林敏也絵
雪どけのころ、アイヌはクマを狩る。それはキンムカムイ(やまのかみさま)からの贈り物だ。そして、そのとき母グマといた子グマは、カムイの国からのお客様として、秋のイオマンテ(クマ送り)まで、村で大切に育てられる。ひと夏を子グマと、兄弟のように過ごしたアイヌの男の子の側から、そしてまたカムイとして母グマの待つ天に帰る子グマの側からも描かれた物語。 |
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秘密の道をぬけて |
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ショッター作 千葉茂樹訳 あすなろ ¥1,365.(税込) 横13cm×縦19cm 対象:小学校上級
夜中に物音で目覚めた少女アマンダは、いつもと違う家の中の雰囲気に、何か重大な出来事が起こっている気配を感じます。アマンダの両親が、黒人奴隷の逃亡を助ける「地下鉄道」の活動をしていたのです。逃げてきた一家にも幼い少女がいて、誇り高く魅力的なその少女は、アマンダの持っている自由を何ひとつ持たず、想像を絶する迫害を受けていたのです。得意の「お芝居で」巡査の捜索をかわし、精一杯逃亡の手助けをするアマンダ。「アンクル・トムの小屋」で黒人問題に出会ったわたしが、小さなお客様にお勧めしたいと思える作品です。 |