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“感想文は絵本で書こう!”の号 2010.7
毎年この時期には感想文にを書く方のために“読み物特集”を掲載します。でも今年は思うところあって、絵本で感想文を書くことをお勧めします。 わたしは子どもの頃、奴隷問題について知る前に、「アンクルトムの小屋」を読んだ記憶があります。歴史として学ぶ前に物語のなかで人としての思いを知ったことを、とてもよかったと思っています。今からこの問題を学ぶ人たちにも、その前に物語に出会うことで、実感を伴う学びをしてもらえたらというのが、わたしの願いです。サッカー・ワールドカップ、アフリカ大会に沸く夏です。 ‘98年の“感想文”お助け特集 ←・・・感想文の書き方のコツ簡略編。 ブログ:読書感想文☆はじめの一歩 ←・・・感想文の書き方のコツ詳細編。 |
ハンダのびっくり プレゼント |
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アイリーン・ブラウン文.絵 福本友美子訳 光村教育図書 ¥1,470.(税込) 初版2006.4 横26.5cm×縦22cm 対象1歳から |
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ハンダはともだちのアケヨにあげようと、おいしそうな果物をカゴに入れました。アフリカの人たちは、物を頭に載せて運びますね。友だちの喜ぶ顔を楽しみに道をいそぐハンダ。ところが、サバンナの動物たちが、つぎつぎにカゴに手を伸ばし鼻を伸ばし首を伸ばし・・・。ハンダの知らない間にカゴは空っぽになってしまいました。 「ぼくのだいすきなケニアの村」「チンパンジ−とさかなどろぼう」 も、是非お読み下さい。 |
あなたがもし 奴隷だったら・・・ |
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ジュリアス・レスター文 |
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幸せに暮していたふるさとから突然連れ去られたら、人間としての尊厳を奪われ、労働を強要され、家族と引き裂かれ、残酷に鞭打たれたら。出来れば目を背けてしまいたい場面が次々に展開し、「想像してごらんなさい。あなたなら?」と問いかけて来る、手にするのに勇気のいる絵本です。でも、こういうことがあったという事実を、知識として知るだけでなく、感じておくことは大切です。思い切って自分の感性を広げ、感覚で知っておきたいことだと思います。 「サバンナのともだち」「ヘンリー・ブラウンの誕生日」もご参考に! |
ぬすみ聞き 運命に耳をすまして |
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グロリア・ウィーラン文 マイク・ベニー絵 |
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白人たちは、奴隷に肝心なことは教えてくれない。だから、お屋敷の窓の下で盗み聞きをして、情報を大人に伝えるのが子どもたちの大切な仕事でした。どんな男が奴隷の監督になるのか、どの奴隷が売られるのか。ある日子どもたちは、奴隷制に反対するリンカーンが大統領になったという話を聞き、大人奴隷たちの待つ小屋に走って帰ります。「自由になるんだ!」。と喜ぶ奴隷たち。本当の自由を手に入れるのはまだ先ですが、「もう、盗み聞きはしなくていいの?」と父さんに尋ねる、女の子の言葉が印象的です。 |