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ピコット便り Vol.135 リニューアル号 2003.冬 |
今年の12月で、ピコットは二十歳になります。力もなく何の準備もなく始め、“無謀!”と呆れられるスタートでしたが、未熟児なりにも20年を歩んでこられたのは、皆様に応援頂いたからこそと、感謝の気持ちでいっぱいです。この間社会情勢も変わっていますが、本屋の仕事の基本は、本の情報のご紹介。『この本を読んで良かった・・・』と言って頂ける仕事を続けてていきたいと思っています。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。 小さな子まで回らぬ舌で「はーりーぽーた」と本棚を指差すほど、ハリー・ポッターシリーズは大人気。普段児童書に冷たいマスコミや出版業界も、ここぞとばかりに盛り上げてくれているようです。絵本で育った子どもたちが、しばらく離れていた読書の世界へ戻ってくれるきっかけともなったこのブームは、専門店としても、有難くない訳ではありません。今回のブームで児童書の出版が勢いづき、高学年以上向けの読み物がたくさん出版されるのも嬉しいことです。でも、「ハリー・ポッター、面白かったね!」で終わらせず、子どもたちに読書の楽しみを続けてもらおうと思ったら、「その本読んだら、こっちのお話もおもしろいよ。」とアドバイスできる人や環境が必要です。また、子どもが皆ファンタジー好みとは限りません。他のジャンルにも楽しみは多いことを、大人たちから是非とも伝えていきたいものです。 小さなころからピコットの本棚で育った小中学生のお客様たちは、さすがに読書量がすごく、「炎のゴブレット」を一晩で読んだ、なんて話も珍しくありません。そして、「ねえ、何か面白い本ない?」が合言葉。新刊は出来るだけ目を通してご紹介したいと思ってはいますが、ディスクワークや雑用に追われてなかなか思うように時間が作れません。これぞと狙いをつけた何冊かをチェックした頃には、対象のお客様たちはとっくにもうひとつ上のグレードで「何か面白い本!」とお待ちかねだったりするのです。でもまあ、若者の読書離れが嘆かれる時代に、用意した情報が間に合わないほど読んでもらえるなんて、幸せなことかもしれません。
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