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ピコット便り Vol.136  春らんまんの号

                                            2003.春

 “本好きな子に育って欲しい”というのは、ご両親のわが子への願いのひとつだと思います。ところがそれが順調に行って、寝食も忘れて読みふけったり、お話の世界へ行ったきりの(様に見える)子に育った時、こんどは逆に、“本が好き”が子育ての悩みになる方もありますから、思うようにはいきません。
 

 勿論わたしも本好きな子どもでしたから、「本を読むのはいいけれど、読み始めると、呼んでも返事をしないのがイヤ・・・。」と母に言われました。夢中になるあまり、お話の続きを自分で勝手に進めてしまうこともありましたし、物語の登場人物たちを私自身の生活の場に登場させて、嬉しいような後ろめたいような気分でこっそり楽しんだりもしたものです。  そんな時代もとうに過ぎ、思えばいつの間にか、どんなに気に入った物語でも、登場人物たちとは距離を持って付き合うようになっています。大人になってしまったせいなのか、それとも次々と本の味見をしなくてはならない本屋の宿命かはわかりません。それでも、主人公が悪事を働くお話は苦手ですし、用心しないと、慌ててページを閉じた怖いお話の続きを、夢で見るような事になってしまいます。


 子ども時代の、空想世界と現実がないまぜになった暮しを、、誰かに話すことは無かったように思います。何だか自分は人とは違うような気がしていたのですね。そしてそのまま忘れていましたが、本屋になって、小さい方と本を通してのお付き合いが出来て、自分の時はああだった、こうだったと当時を面白く思い出せるようになりました。


 読むのが楽しくて仕方ない時期の、小・中学生のお客さんと本棚の前にいると、大抵の子に、長さにこだわって本を選ぶ一時期があるのことに気付きます。勿論長ければ長いほど意に沿うわけです。“続編があるよ”と言うとほっと安心した表情になるのも同じです。ページが少なくなるにつれ、物語の中のお気に入りとの別れを惜しんだ子ども時代を思い出して、そうだよねえ、その気持ちわかるわかる・・・と共感してしまいます。“長さだけで選んでは、良い本に巡りあえませんよ”とは言えません。私自身、読書環境が良かった訳ではありませんが、有り合わせ(?)の本で十二分に読書の楽しみに浸ったことを思い出すのです。


 勿論読書には教育的側面もありますし、読書好きの子は基礎学力がしっかり身に付くこともその通りです。けれどもまず、その時代にしかない読書を、たっぷり楽しんでもらいたいというのが、自身の子ども時代を振り返って思うことです。