バックナンバー

Vol.151

Vol.150

Vol.149

Vol.148

Vol.147

Vol.146

Vol.145

Vol.144

Vol.143

Vol.142

Vol.141

Vol.140

Vol.139

Vol.138

Vol.137

Vol.136

Vol.135

Vol.134

Vol.133

Vol.132

Vol.131

Vol.130

Vol.129

Vol.128

Vol.126

Vol.125

Vol.124

 


ピコット便り Vol.148  白い波

                                            2006.初夏

 以前にこの欄で「本をどう選ぶか」について書いたのを覚えて頂いているでしょうか。本屋を始めたころは、新聞などの書評欄をチェックし、紹介された新刊は店頭に並べるのが役目と思っていました。しかし、それがピコットのお客様のお好みに合う訳でもないと気付き、ならば!と、今は「小さいお客さまに聞いて」品揃えをしています。ある絵本好きさんの運営されるホームページで「ピコットのセレクトが好き」と紹介して頂いているのを見た時には、お客様とダブルで褒められた気分になったものです。

専門店は関係の情報が集まりやすいかというと、そうとも言えず、児童書専門の出版社の情報は把握できても、総合出版社の情報はキャッチし損ねる事もあります。ことに翻訳物の児童読物は、思いがけない出版社が扱う事もあり要注意。ちなみに「ハリー・ポッター」を出した静山社も、児童書が専門ではありません。そんな訳で、翻訳物は、翻訳者の側からも検索するようにしています。優れた作品が実力のある翻訳者のもとに集まる傾向があるからです。ピコットの選書は「小さいお客様から聞いて」に「翻訳者から聞いて」の、方法も加わる訳です。それに、店主の好み少々と・・・。

ところで、「翻訳者ルート」は期せずして児童書以外の作品も吊り上げる事になります。児童書の翻訳者が大人の本も訳すことは大いにあり、一方でピコットのお客様も中学生以上になれば、「児童書」以外のジャンルに興味を持って当然。中高生にお勧めしたい「一般書」も少しは置きたいなあ・・・というのは、店主のささやかな夢のひとつです。

 しかし、狭い店内になにもかも詰め込むのは物理的に無理で、さらに、狭い店主の頭に別のジャンルの情報もぎゅうぎゅう押し込むというのも、これまた物理的に限界かも?など等と思っているところで出会ったのが、尊敬する翻訳者のひとり金原瑞人氏が編集された、「12歳からの読書案内」です。本屋の私も読んでこなかったさまざまなジャンルの書籍が紹介されていて、思わずワクワク。世界は広く自分の仕事には限界のあることを実感します。「一生児童書だけを読んで暮らす訳にはいかないぞ。」と、中高生のお客さんに言われた時には、まずこの本を差し出して時間をかせぐ・・・、ではないですね!これを手掛かりに、今までよりもう少し範囲を広げて行きましょう。でも児童書を読むのに「卒業」はありません。児童書とは一生お付き合いをお願いしたいと思っています。